畳
古事記に「皮畳」「萱畳」「きぬ畳」という言葉が記されていたことから、8世紀頃には「畳」とよばれる敷物が存在したことがわかっていますが、現存する最も古い畳は正倉院に残る「御床畳」。聖武天皇が使う木製の台座に置かれ寝具として使われていました。平安時代には貴族の座具、寝具として板の間の一部に置き畳として使われ、鎌倉や室町の頃に今のように部屋に敷き詰めるような使われ方をされるようになったそうです。庶民に広まったのは江戸時代。畳職人も登場し、以降畳文化はますます広がって、現在も日本の住居になくてはならない存在となっています。日本の伝統文化の中には、中国から伝えられてきたものが多いのですが、畳は日本で発祥した独自の文化。い草の香りにほっとしたり、畳のある空間では自然と寝転びたくなるのも、日本人の遺伝子に刻み込まれた感覚なのかもしれません。
元禄3年から300年余も続く「元禄畳」は、くろ谷金戒光明寺の門前にのれんを掲げる老舗。寺院や旅館、町屋など古くからある建物はもちろん、やはり癒しと居心地の良さを求めてホテルやマンションなどの施工も多いとか。「昔のように冠婚葬祭を家で行い、お祝いやお葬式の様式に畳の張り替えをするという方も、本当に少しずつですが増えてこられていますよ」と17代目島田 英嗣さん。「お客様の希望や環境の変化に柔軟には、できるだけお願いされたらなんでも対応していきたいですよ」穏やかな語り口の奥に、末永く畳文化を守り続けることへの強い思いが感じられました。
株式会社元禄畳
〒606-8321 京都市左京区岡崎東福ノ川36
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