張り子
張り子技術の伝来は奈良時代の仏像製作における乾漆の技法にも通じるといわれ、平安時代末期には祓の具として作られたものがあったといわれ、また室町時代に中国から起き上がり小法師が伝わり達磨の原型になったといわれています。書き損じや不要になった紙を使うので経済的、また壊れにくく軽いという利点も多いため、その後各地で庶民の間に広まり、江戸時代の後期には達磨や虎、獅子頭、犬張り子、福助などが縁起物として流行しました。張り子は木型や粘土型に紙を糊で貼り重ね、乾いてから中の型を抜き取って塗装、彩色して仕上げます。同じモチーフでもひとつひとつ、また作者や地方によってもがらりと違う個性豊かな表情も魅力。見れば見るほど集めたくなる郷土玩具として、昨今再び人気が集まっています。
前田ビバリーさんも、そんな多様性のある張り子の表現に取りつかれた一人。長崎に生まれ、美術大学を卒業して映像制作会社に勤務の後、張り子作家荒井良氏に師事。地元長崎の郷土玩具を復元したり、各地で張り子やしめ縄などの技法を教わりながら、伝統的な技法とオリジナルの表現をミックスしたユニークな郷土玩具、お面、熊手やしめ縄を制作し続けています。五穀豊穣や子孫繁栄、商売繁盛を願って作る張り子の縁起物と切っても切れない田舞の面白さにも惹かれ、今後は「縁起物師」として絵画や映像など様々な表現手法も使って張り子から始まる縁起物ワールドを極め、広めていきたいと語ってくれました。
張り子の熊手 価格:写真のものは20,000円前後(大きさ、内容により変動)
前田ビバリー
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