金沢桐工芸
桐工芸といえば箪笥という印象がありますが、金沢で桐工芸と言えば、雪国ならではのねばりけのある良質の桐を使った火鉢。表面を焼いて木目を浮き上がらせた桐に錆(漆と砥の粉を混ぜたもの)を盛り、蒔絵を施した火鉢は、軽くて耐湿・耐火性に富む暖房器具として生活必需品であるとともに、美しさと温かみのある焼き肌に蒔絵の優美さを纏う、他に類をみない工藝品でもありました。昭和30年代に燃料革命が起きると、火鉢は実用品から趣味のものへと移り変わり、数多くの製造元もいまでは金沢に3軒となりました。
金沢市瓢箪町にある岩本清商店は、大正13年の創業以来桐工芸を作り続けてきました。軒先には、「桐火鉢」と書かれた風格のある看板が。店内には昔ながらの華麗な蒔絵の施された火鉢、掛物、屏風など装飾品から、小さな丸い火鉢やトレー、茶托などの実用品が並び、軽くて柔らかな風合いと使うほどに色艶の出る金沢桐工芸の良さを実際に確かめることができます。現当主・岩本清史郎さんがそろそろ店の幕引きを考えていた頃、娘の歩弓さんと夫の内田健介さんは「やれるところまでやりたい」と、それまで暮らした東京を離れて金沢へ移り住み、以来12年。ろくろ職人である弟の岩本匡史さんとともに、時代に合わせた器や、今また見直される火鉢など、懐かしくて新しい桐工芸の魅力を発信し続けています。
まんまる夏火鉢 32,400円 五徳 4,320円
岩本清商店
〒920-0845 石川県金沢市瓢箪町3-2
TEL:076-231-5421
HP:http://www.kirikougei.com/