ぽち袋
絵なのに、ふっくら。品がよく、どこか愛嬌もある。「嵩山堂(すうざんどう)はし本」のぽち袋には、手にした人を微笑ませてしまう、そんな小さな幸福感があらかじめ包まれているかのようです。「手刷りは絵に奥行きがあり、額に入れても額に負けないんですよ」。
本店は、京都・六角通りに佇む、商家らしい趣の和文具店。麻の暖簾をくぐって中に入れば、筆や硯が陳列され、その手前には、葉書や便箋、祝儀袋やぽち袋といった身近な和文具がずらっと並びます。創業は昭和28年。「京都ではまだまだ」ということですが、初代は地元の老舗文具店に勤めながら書に親しみ、定年退職後にこの店を開いたとか。かな書道の用具や料紙(りょうし)を扱っていたのが、しだいにオリジナルの和文具をつくるようになったそうで、そのなめらかな書き心地には定評があります。
「こころばかり」「きもちです」「どうもありがとう」……目を引くのは、ぽち袋の余白に書かれたやわらかな仮名文字。「このように書いてみては」という提案を見本帳にまとめたところ、「書き入れたものがほしい」との声が多く、お客さんとのやり取りからいくつかを商品化したそうです。歌舞伎座が近い銀座店では、贔屓の役者さんに渡す祝儀袋が誕生。やわらかなのは文字ばかりでなく、「包む心」でもあるようです。
ぽち袋 「ちょこっとお福」 735円
嵩山堂はし本・京都本店
〒604-8072 京都府京都市中京区六角通り麸屋町東入る
TEL:075-223-0347
営業:10時~18時(お盆・お正月を除き無休)
東京に銀座店、渋谷店、蒲田店があり、オンラインショップも。
http://www.suuzando.co.jp/