長野県編 その四

信州松本の中町は西から東へ抜ける善光寺街道沿いにあり、もともとは酒造業や呉服屋の集まる商店街。白壁と黒海鼠の土蔵は江戸末期から明治にかけて、火災から商業地を守るため作られるようになりました。
国宝松本城とともに発展してきた中町では今、蔵を利用した新しいお店がたくさん誕生しています。

創業昭和8年の洋食屋おきな堂で、おいしいオムライスとポークステーキを満喫した私たち。帰り際にマスターからこんなお店ありますよ、とご紹介を受けました。白壁と黒海鼠の土蔵の脇。小さな路地をずずーっと奥まで進んでいくと、ありました、ありました。「手仕事商會すぐり」の鳥の形をした看板が。
ハーブのたくさん植えられた玄関。土蔵の入り口をくぐると、木工、ガラス、布、紙工芸、竹や蔓で編んだかご、和紙のはたきなどの手作り品が所狭しと並んでいました。二階で行われる企画展では手毬の教室やくらしの道具、信州在住の作家の手仕事展など季節に合わせた催しが行われています。



このお店でのもうひとつのお楽しみは、近くの洋食屋「おきな堂」からの季節のスイーツが届けられるカフェカウンター。しぼりたてのフルーツが嬉しいオレンジとメープルシロップの「メープルミモザ」や、「レモネード」、「松本市三才山なかや農園のいちごとりんごのジュース」、あったかい飲み物では「野いちごと野ばらの香りのスリランカ紅茶」「花梨ホットジンジャーレモネード」それらは全部テイクアウトできるというのです。入口脇のベンチに腰掛けて、ほっと一息いかがでしょうか。

そして、同じ通りにはcafe chiiannがあります。こちらは14席の小さなカフェ。明治時代の蔵を信州の家具職人が3ヵ月かけてリノベーションしたそうです。ポットで出される紅茶、ハンドドリップのコーヒー、焼き菓子、ビール、日本酒、ワインなどのアルコール、ちょっとしたフードも用意されていて、嬉しいですね。



手触りの優しい品々に囲まれ、美味しい飲み物を手に過ごす人生の時間は、私たちの極上の時。ぜひ昼下がりにお出かけしてみてください。