高知県編 その四

高知の旅は太陽の光の中続きます。四国の中でも高知は太平洋に面した県で日照率も高く、四万十川の清流と海のイメージがあったのですが、なんと山間地が86%で実は山の県だったんですね。
実は私は高知の友人がたくさんいて、不思議なんですが何故か全員が私の故郷金沢で出会った人達です。
男性の一人は大学の同級生。演劇に打ち込み普段おとなしいのに日本酒を呑むと話が止まらないお酒好き。もう一人は映像クリエーターで男気がある人でお酒が強い。女性では写真をやっていた大学生で闊達でお酒が強い。吹きガラスをやっていた作家でこれまたお酒がめっぽう強く、会うと必ず夜更けまで飲むことになる。なぜ高知の人達は陽気ではっきりものを言い、お酒が強くて、楽しい人が多いのでしょう。私は「いごっそう」、「はちきん」の友人達に和ませてもらっていました。高知には「おきゃく」(お客さんをもてなすこと)や「返杯」(お酒を一気に飲み干して相手に渡し、相手にも飲んでもらうこと)、そしてなんと飲み終わらなければテーブルに盃をおけない底がたいらでない「可杯」(べくはい)というものが存在しています。友人の一人は、司牡丹(高知の地酒)でほどよく酔っぱらうと「俺らは太平洋の向こうに世界を見るんや!」と誇らしげに言っていました。そして全員が次の日にはカラッとしていて、日常をエネルギッシュにこなしているのです。「客人を酔わせて楽しませよう」という心と、太平洋に面した大自然のおおらかさと、太陽の明るさが高知県人をはぐくんできたことは確かです。

さて、高知にはカフェも多いと聞きました。情報を聞きつけて、土佐山田町の神母ノ木(いげのき)の別のお店に行こうとしていましたら、そこはあいにく閉まっており、ぶらぶらと町を散策することに。すると昔の商店のなごりがある通りに出会いました。

軒下にかかるのれんと、「古古」(ここ)という看板の文字に惹かれて町家に吸い込まれました。そこは小さなカフェでした。テーブルとソファ、足踏みミシンや昔の秤が置かれ、アンティークに囲まれて、美味しいランチをいただきました。今茶房「古古」は代替わりし、その時のオーナーだった岡林さんは新しいお店を出されています。南国市ながおか温泉近くの、“畑の食堂Copan(コパン)”です。地元の規格外野菜をたっぷり使い、お肉やお魚のお料理やパンケーキが評判。Instagramを覗いてみるとあの時の岡林さんがご家族みんなで笑っている笑顔に出会うことができました。幸せが伝わってくるようでした。

古古古古古古

もう一軒、KIKONI SISKOという北欧の雑貨と小さなカフェへ。KIKONIは土佐弁で「きままに」SISKOはフィンランド語から「姉妹」という意味だそうです。お姉さまがオーナーさんで、妹さんのデザイン製作したテーブルと北欧の雑貨がすっきりとした店内にそれはそれは美しく並んでいました。カフェでは北欧のコーヒー豆と、土佐ジローの卵で作ったケーキ。なんでもお父様の養鶏場から来た卵だそうです。

KIKONI SISKOKIKONI SISKOKIKONI SISKO

高知は四国内の陸路アクセスが遅れていたそうで、高知のものは高知だけで生産消費されることが多かったとか。外からの人達をもてなす事に長けた高知の文化を現代にも引き継いで「おきゃく」の心が感じられるお店でした。高知に行かれたら是非お訪ねください。