石川県編 その十二

大寒に突入したあたりから、私の気持ちの落ち込みが加速していきます。この自動的な反応に、笑ってしまうほど。例年これは誕生日の2月3日まで継続していきます。そして立春が過ぎたらすこしずつ落ち込みが正常化していく。これは自己暗示のたまものなのか、不思議です。

私の庭の雪 彗星倶楽部(金沢)

思い込みといえば、占いにはほとんど興味がない私ですが人にすすめられて2回ばかりみてもらったことがあります。一度目は、シングルマザーになったあと、2人の子ども、抗がん剤治療中の母との暮らしのために始めた仕事が、本当につらくて、苦しい毎日でした。仕事に振り回され子どもたちの世話が十分できない、この先の不安からとにかくがむしゃらに働くことで自分を捨てたような生き方をしていました。

あるとき金沢の中心地にあるとある有名な喫茶店の女主人が、四柱推命のような方法(だったと思う)で私の生年月日、生まれた時間などを占いました。

その結果、「あなたは〇〇歳になるまで、何をやっても成功しませんねー、どこをどうみても難しいです」ということでした。その呪文にかかってしまったのか、私はその後すくなくとも10年以上、成功とは程遠い辛い、苦しいと感じる人生を選択してしまったように思います。

この経験は、彼女が正しいかったから命中したんでしょうか。私は占い師が予言した年齢を越えました。そして不思議なことに今は冷静に自分を客観視できています。

私は自分は何をやっても成功しない人間だろう、と思っていたのでその通りの人生を歩んだ。そのマインドセットは誰でもなく私が作ったもの。 私が自分を大事にできず、他人に翻弄された結果の出来事です。 自分の人生を人に依存しお任せする事ほど馬鹿げて無意味なことはありません。
自分の心の在り様が私を追い込み、失敗に導いたと今は確信しています。

年末東京都現代美術館に
「坂本龍一|音を視る 時を聴く」 における
坂本龍一+中谷芙二子+高谷史郎《LIFE–WELL TOKYO》霧の彫刻 #47662 2024

私は幸せになる権利がありそれに値すると思っていたら、たとえそう言われたとしてもはね返すことはできたでしょう。 その時はできませんでした。

そして今、自分を大切にしなかった道から離れようと、猛勉強でいろいろなことに取り組んでいます。

自信を取り戻し自分を誇れるような残りの人生を歩みたい。そして芸術の中に自分の居場所を見つけた私は、その感受性を救いとすることができます。その恩恵に感謝するしかありません。自分の心の中に種があります。その種に水をやり慈しみ、苗を成長させ育てる事だと思います。たとえもう花は咲かなくても、葉だけでも大事に育てることができたら、生きていることに意味があると今は思います。