タイ編 その二

私とチームになったのは、オーストラリア在住織物アーティストのAmanda・Ho、そして東京を拠点とするEbRuです。EbRuは今、EARMINDというイヤホンのブランドを立ち上げようとしています。私達にできることを模索する中、EbRuの会社の立ち上げにあたって、プロモーションビデオを制作することになりました。

丁度その頃、私は金沢で空家となった近代建築や空家を再利用したプロジェクトをいくつか行っているところでした。
「旧山田詩朗邸」(大手町洋館)は大正から昭和にかけて金沢大学医学部の教授を務めた山田詩朗氏がドイツ留学を経て1933年(昭和8年)に建築したものです。金沢城のすぐ膝元の大手町にあるこの邸宅が入札されて個人所有になったもののその後の計画がコロナ禍で進まない状態になっていました。
中森はこの建物を使用して何かできないか模索しているところでした。

そこで考えたのが大手町洋館にてプロモーションビデオを撮影する、その時にAmandaの制作したイヤホンも撮影に取り入れる、という方法でした。

頭の中ですぐにストーリーが芽生えました。このプロモーションビデオそのものを、メンタリングを主題に作ってみたい、と思いました。若い女性が自分の悩みを洋館に住む女性に相談に行く、そこでイヤホンを渡される・・・・と続くストーリーです。漫画の形式でコマを作ってみました。これからモデルの選択、ヘアメイクの事、カメラマン、音響など細かい調整が必要になってきます。シンポジウムまでにそれが間に合うのだろうか。私は少し冷や汗がでてきました。

(つづく)