タイ編 その二

私とチームになったのは、オーストラリア在住織物アーティストのAmanda・Ho、そして東京を拠点とするEbRuです。EbRuは今、EARMINDというイヤホンのブランドを立ち上げようとしています。2組とも、ものづくりに関わっています。そして私は1998年より彗星倶楽部 Suisei-Artという名前で、作品の展覧会を開催したりアートイベントを行っています。私達にできることを模索する中、 Amandaが「イヤホンを制作してみたらどうか」と提案、EbRuたちは会社の立ち上げにあたって、プロモーションビデオを制作したい、という事でした。

そして丁度その頃、私は金沢で使われなくなった近代建築や空家を再利用し、展示をしたり舞台につくりかえたり、というプロジェクトをいくつか行っているところでした。金沢は戦火を免れたために戦前からの個性的な建物が残っています。昭和初期に建てられ長年放置されていた金沢町家、大正期の薬局や明治期の洋館などです。
「旧山田詩朗邸」(大手町洋館)は大正から昭和にかけて金沢大学医学部の教授を務めた山田詩朗氏が、ドイツ留学を経て、1933年(昭和8年)に自宅として建てられたものです。金沢城のすぐ膝元の大手町にあるこの邸宅が入札されて個人所有になったもののその後の計画がコロナ禍で進まない状態になっていました。
中森はこの建物を使用して何かできないか模索しているところでした。

そこで考えたのが、大手町洋館にてプロモーションビデオを撮影する、その時にAmandaの制作したイヤホンも撮影に取り入れる、という方法でした。 それぞれの希望がプロモーションビデオを作成することで実現するような気がしました。

さっそくその構想に向けて皆のエンジンがかかり始めたことを実感しました。頭の中ですぐにストーリーが芽生えました。このプロモーションビデオそのものを、メンタリングを主題に作ってみたい、と思いました。若い女性が自分の悩みを洋館に住む女性に相談に行く、そこでイヤホンを渡される・・・・と続くストーリーです。漫画の形式でコマを作ってみました。これからモデルの選択、ヘアメイクの事、カメラマン、音響など細かい調整が必要になってきます。シンポジウムまでにそれが間に合うのだろうか。私は少し冷や汗がでてきました。

(つづく)