タイ編 その一

2022年12月の6日から10日間、はじめてタイにでかけました。
Design and Social Innovation in Asia-Pacific (DESIAP) というグループが主催して、オーストラリア、タイ、日本、メキシコ、マレーシア、イギリス、香港、インドネシアの女性たちが集まって情報と知識をシェアし合うものです。滞在中3日間シンポジウムが行われました。

知識や経験がある人がそれを次の世代に伝えていく「メンター、メンティーリレーションシップ」をテーマに意見交換とワークショップをすることになりました。

会場であるタイ・バンコクのJIM THOMPSON ART CENTER

私を誘ったのは金沢美術工芸大学・芸術学部専攻の教授菊池裕子氏。ロンドン芸術大学で教鞭を取り、金沢美術工芸大学に赴任してきた彼女は、何か保守的な考えに凝り固まるのではなく女性達の力で日本から世界に窓を拡げたいとの考えに私は大いに触発されこのプロジェクトの一員になることをを引き受けてしまったのでした。

私はオーストラリアに住む織物の作家Amanda Ho、日本は東京を拠点に次世代のイヤホンを作っているEbRuとグループになり、1年かけて何か創造的な事を行えないか、と課題が与えられました。2021年の暮れの事です。

シンポジウムの立て看板

アマンダはイギリス領だった香港が中国に返還される1997年直前に、家族でオーストラリアに移住してきた中国系の移民の一人です。もともと建築の仕事についていた彼女は新天地で織物を始めました。作家として展示に出品するほか、織物仲間たちとコミュニティを作り織物を教えたり作品を販売したりして普及に努めています。

慣れないzoomで話すアマンダと私

EbRuは 金沢美術工芸大学の工芸科の3人の女性達が共同で作った会社です。 日本の工芸家達とコラボレーションし、漆、金属、蒔絵などの技術を使って新しい世代に向けてイヤホンの制作をし、アートと世界をつなぐという高い意識を持っています。クラウドファンディングで集まった資金を元手に会社を立ち上げ、この冬に始動するのです。

彼らが必要とする知識が何もない私に何できるのだろうか、とても悩ましい日々が続きました。しかし2022年12月に向けて、とにかく何か一歩を踏み出す事にしました。

zoomでのやり取りは自己紹介から始まりました。お互いの事を少し知るためにギフトを交換し合う、というミッションが与えられていた私達は、自分たちの今までのスキルに関わるものを送り合いました。

アマンダはお茶の時に使えるティーマット、EbRuは彼女たちのコンセプトのシンボルであるマーブリングを使ったノート、私は「めんたある」という名前のお守り袋を二人に送ることにしました。

オーストラリアのアマンダの織物、EbRuのマーブリングのノート、 私のお守り袋

手元に届いたギフトを眺めても、かくもバラバラな私達。いったい何をしたらよいのだろう、、不安が募ります。(続く・・・)