岐阜県編 その二

郡上大和の緑に覆われた山々の息吹の香りに包まれながら過ごす時間もあっという間。次に向うのは郡上踊りで毎年賑わう場所。残念ながら2021年の郡上踊りも中止となったのですが、街の様子が気になります。

「とまりぎ・山のひゃくせい」さんに、どこか取材できるところはないですか、と伺うと、美味しいドーナツ屋さんが小学校の向いにオープンしているというではありませんか。「おおお。ドーナツ♪」と一同ほくそ笑む。

山のひゃくせいさんたちに手を振って、「じゃあ!また来ま~す」となんだか声も弾んでいるカメラマンのHはドーナツの呼び声でハンドルが軽くなったのか、登ってきた山を調子よくくねくね下る。いつもドライバーもさせられて、重い荷物を運ばされているカメラマン。いつ機嫌が悪くなるかと、私はいつも内心ヒヤヒヤしているのですが、ドーナツのおかげでなんとか終わりまで「もちそうな」気がしてホッとする。

さてドーナツ屋さんの名前は「ヤマネコドーナツ」。そのお店は小学校の向かいの角にささやかに、しかしあたりに美味しそうな匂いを漂わせています。小窓の外側にカウンターを付けて、通りがかりの人びとが窓越しにそのまま注文できるようになっています。昭和の時代を思い出させる手作り感のある店構え。昔コロッケや、うなぎやお惣菜がこんな風に街角で売られていたこと、思い出しました。

ヤマネコドーナツは有機スペルト小麦を使い、郡上産の麹で出した優しい甘みがほんのりとあじわい深い手作りのドーナツです。きび砂糖 自然塩 など厳選した材料で、卵・乳製品は使わないのでアレルギーのある人にも安心。ドライフルーツや、ナッツ などは、オーガニック、自分達の山や畑で 採れた食材も季節に合わせて取り入れています。なんと贅沢な材料なのでしょう。

種類も豊富で、酒粕、ゆずきなこ、甘夏、レモンココナッツ、ラムレーズン、チョコヤマネコ、よもぎ、黒胡麻きなこ、オーガニックシナモン、アールグレイナッツ、クミン、かぼちゃ、メープル、ココナッツ、黒蜜きなこ、と選ぶのを迷うほど。


「自然を感じ 、安心してお召し上がり いただけるドーナツを目指しています」。お店を運営する小林夫妻の仲良しそうな笑顔が眩しい。

揚げたてのドーナツはふくふくとして、旅の途中、わたしたちの心は心底温かくなりました。