岐阜県編 その一

岐阜への旅が始まりました。私の住んでいる金沢から郡上八幡まで車で2時間と少し。

郡上八幡といえば郡上踊り、4夜徹夜で踊り続けるという江戸時代から400年も続く踊りです。郡上踊りは2020年、2021年の開催は残念ながら見送られました。

一方、郡上八幡の隣の市、郡上大和。国道から山あいの道をくねくねと登ると栗栖川の上流の小さな集落の若者たちが、音楽や踊りのイベントをささやかに行っているというのです。

吉田雄輔さんと小野木敦さんが共同で営む「とまりぎ・山のひゃくせい」は民宿・喫茶を営み、どぶろくづくりもしています。ここ郡上八幡大和町は2008年よりどぶろく特区に。水とお米と菌でできた「郡上のどぶろく」、「ひゃくせいのあま酒」は白くとろりとして豊潤な甘みと発酵の香り。

また週2日、カフェ「にど庭」が作る「ベジランチ」はいつも予約でいっぱいになっています。お母さんと子どもたちが無農薬の野菜をふんだんに使った滋味あふれる食事と、スタッフの絵本の読み聞かせを楽しみに集まってきます。人里離れたこの場所が賑やかに。

場所が人を、人が人を呼び、この地域にはパーカッショニスト、シンガー、ダンサーなど音楽家たちも住み込んできました。ひゃくせいに色々な楽器が置いてあるのはそのためです。仲間と音楽と踊りを楽しむイベント「山ディスコ」は小野木さんの大好きな絵本作家スズキコージさんの絵本「やまのディスコ」に触発されたもの。皆で輪になって踊ります。近所の神社では手作りの音楽イベントも開催するなど地域での活動も積極的に行います。

日本人の血の中に流れる太鼓のリズム。ゆるやかに繋がりながら共生していく。「何もないけど全てある」。その言葉の通りの人々の営みがこの山にはありました。