愛知県編 その二

岡崎市のmado cafeをあとにし、私たちは次の目的地豊橋市へと車を走らせました。すでに時刻は夕暮れ。日が暮れる頃に目的地のホテルにチェックインしました。

HOTEL ARC RICHEはJR豊橋駅からほど近く。都会的な建築様式のインテリア、ある文化人の書斎をイメージしたというライブラリのコーナーにはセレクトされた本が並んでおり、アーティストの作品がところどころに展示され、私の心は高まります。

レセプションフロアーでは円形の暖炉が静かに火をたたえており、寒くはない時節ながら、暖炉の周りのほんわりとした温かさ。旅のあわただしさがホッと緩む厳かな空間になっていました。

さてその夜、私たちが向かった先は、アンティークショップのvintです。ガレージを店舗に見立てたような店内。東欧のものが多いのでしょうか。ご主人の趣味の良さが伺われるビンテージ品が並び、興味をそそられます。

人の手を得たものは先の持ち主の歴史を内包しています。そしてそのことが私たちの想像力を掻き立てて、物の価値を高めます。新型コロナウイルスが蔓延しつつある今、なおさら身近にある「もの」が気になりだします。「もの」だけではありません。人との関係や場所を共有することと私たちの関係についても、何か丁寧に考えざるを得なくなりました。

物と人の関係は私たちの生命の来し方に歴史を刻み、これから先の歴史にも影響をもたらすもの。愛するものに囲まれる暮らしを私たちは人生とよんで遺伝子をつないで行っているのです。

日が暮れてホテルに戻る途中になにやら不思議な一角を見つけました。近代建築のような建物の玄関にほんのり灯る赤ちょうちん。ホルモン焼肉屋さんらしい。もともとは何だったのでしょう。郵便局、公民館?

こういうレトロモダンな建物が新しい用途で洒脱に使われているをみるとざわざわ胸が騒いでしまいます。