愛知県編 その一

世界中コロナの嵐が吹き荒れ、まだそれが続いています。外に出るのは必要最低限の買い物の時だけだった去年と比べ今年はずいぶん余裕が出てきて気持ちが緩んでいたところ、また変異ウイルスとやらに翻弄される今。そういいつつオリンピックも始まりました。最初の頃はかけ忘れるマスクでしたが今はほとんど忘れる事は無くなりました。慣れとは恐ろしいものです。

それにしても展覧会の企画など外出で飛び回っており、こんな状況でもやることが絶え間なく、たとえ家にいても任務がたくさんあることに気づきます。お料理。読書。お掃除。そして仕事の執筆。この状況でできる仕事がある、ただただそれはありがたいことだと思わなければなりません。

とは言っても取材であちこち行かなければならないので、2020年から今年にかけて多少なりとも影響がありました。今回の静岡県と愛知県の旅は、飲食店の自粛要請で予定がキャンセルされながら、合間をぬっての旅。

ああ、やはり皆さんと直接会って美味しいご飯を食べながら話すことは極上の楽しみ。今までは何ともなしに思っていたことが、実はとても貴重なことでした。この気づきを忘れずに、今傍にいる人たちへの思いやりを持っていきたいものです。

さて、静岡の太陽と光が明るく眩しすぎる静岡県を離れ、私たちは愛知県に向かいました。

こちらで最初に訪れたのはmadocafe(マドカフェ)。森の中のコテージのような店構え、オリーブの木に黒い実がたわわに付いていました。私たちを迎えてくださったのは柴田さんご夫婦。白いユニフォームとエプロンが眩しいお二人。なんでも二人は同じ喫茶店で働いていたとか。

二人の共通の悩みは行きたくなるカフェがなかったこと。いつか、自分達の理想の店を作りたい、と共通の夢を膨らませていた二人。とうとうその夢が現実になりました。

昔からそこにあったように見える建物は、更地に大工さんと相談しながら時間をかけて一から作り上げたもの。内装に必要なものは妥協することなく探し当てました。家具、室内の棚もランプも、ヨーロッパのコテージにありそうな佇まい。

緑の木々に囲まれて窓からふんわり陽が差し込む居心地のよいカフェは、お客さまが自分たちのそれぞれの時間を愉しむ空間になっています。

mado cafeで野菜たっぷりの美味しいオムライスをいただき、さらに幸せそうなお二人の笑顔に、何かほんわりと優しい気持ちに包まれた午後、私たちは次の目的地へと向かいました。