静岡県編 その五

美味しいお茶をいただき、緑茶のお土産を手にした私たち。西側にある牧野原台地から、ゆっくり降り、長谷川夫妻に次に案内されたのは、大井川にかかる蓬莱橋(ほうらいばし)です。

大井川は「箱根八里は馬でも越すが 越すに越されぬ 大井川」と詠われた、東海道の難所の一つです。東海道五十三次で広重の版画にもなっているほど。

大井川にかかる蓬莱橋は、全長897.4メートル、通行幅2.4メートル。牧之原台地のお茶農家が行き来するための農道として明治期に作られました。木造の橋としては平成9年に「世界一の長さを誇る木造歩道橋」としてイギリスのギネス社に認定されたとか。そろそろと歩いて渡るにはちょうどよい長さです。橋の中頃まで行くとなんと富士山が遠くに見えました。

かつての宿場は「島田宿大井川川越遺跡」として国の史跡となっています。大井川が増水して足止めになり、何日も過ごすことになり宿泊費や遊興費で持ち金を使い果たした人たちも多く、まさに超すに越されぬ、、となったのです。

それにしてもこの空の青さといったら!北陸育ちの私にはこの青は目に痛いほど。海の波止場に向かいますと広がる凪が穏やかです。

その夜、「お寿司なら絶対ここ!」と勧められて私たちは長谷川夫妻のいきつけのお店、島田市中央町の寿司店魚中へ。

鮪の漁獲高日本一といわれる島田市。振舞われる寿司のネタのイキの良さとお店の明るい雰囲気にお話しも弾みとても楽しい時間を過ごすことができました。

その魚中さんはお昼に生鮮食品を販売してもいます。生きの良いお魚はもちろんのこと、じゃこや海藻のちょっとした仕出しものが所狭しと並んでいます。驚くのは鮪の値段。これは金沢の半分の値で羨ましい限りです。

海と自然。太陽の降り注ぐ暮らしは人々のおおらかさを育み食文化を豊かにしています。