
写真と文章
撮影で偶然を楽しんでいる松田めぐみさん(長崎市立山在住)
私がフォーカスの撮影会に参加するようになって、平和公園めぐりは今年で5回目となる。それまで一般市民が式典に参列できることも知らなかったが、初めて参列した際に驚いたことは国内外問わず、たくさんの方が平和公園を来訪されていたということ。色んな思いを携えて、サイレンと鐘が鳴り響く11時2分に黙祷を捧げていた。今の長崎の街並みを眺めていて、ふと思うことがある。本当にここは73年前の8月9日に原爆が投下され、徹底的に破壊し尽くされた場所なのかと。それ程までに長崎は戦後目覚ましい復興を遂げているのだが、撮影会で原爆落下地点を中心に巡ってみると、それがやはり現実のものであったと認識せざるを得ない。被爆遺構と呼ばれるそれらのものは、今も変わらずそれぞれの場所で時を刻み、原爆の恐ろしさを静かに語りかけてくる。毎年必ず巡り来る8月9日。この日が世界中の人々にとって、戦争がもたらすものとは何かを考える1日になることを願うばかりである。