福井県編 その二

吉崎御坊、鹿島の森、と何層も歴史が重なっている場所をあとに、次の目的地、坂井市三国に向かって走りました。九頭竜川の河口に位置する三国湊は古来より水運による物流の拠点でした。いまは隆盛を極めた町の商人の歴史をふまえた、新しい街づくりの気運が高まりました。マップが作られたり、建造物の場所を知らせるサインが見やすくデザインされています。

三国湊きたまえ通り

三国湊きたまえ通り

三國廻湊図

三國廻湊図

その中の一つ、旧森田銀行本店にはいってみました。この銀行は北前船による廻船業をしていた豪商森田家が明治27年(1894年)に創業。1920年(大正9年)に本店として落成した建物が残っています。モダンな近代建築は福井県内に現存する鉄筋コンクリート造の最古のものとか。今は登録有形文化財となっており、入館料無料で午前9時から午後5時まで見学することができます。

旧森田銀行本店 外観

旧森田銀行本店 外観

旧森田銀行本店 内観

旧森田銀行本店 内観

旧森田銀行本店 天井

旧森田銀行本店 天井

銀行を出てまちをぶらり、旧岸名家、三国湊町家館、三国湊座が並んでいるお向かいに、ちょっとおしゃれなお店がありました。「三本日和」は北陸のいいもの、暮らしの道具を販売しているお店、店主である畠山かなこ(はたけやま・かなこ)さんはエディターもされていて、三国の町づくりにも関わって15年。三国湊の情報バンクのようなお方とお見受けしました。三国湊のインフォメーションがたくさん置いてある三国湊町家館まで案内してくださり町の歴史やお店の情報を伺いました。かなこさんに薦められ「みくに園」に。盆栽のお店と聞いて伺ったらまあびっくり、たくさんの盆栽が所狭しと並んでいるのです。店主の下村禎勝(しもむら・よしかつ)さんはもともとお父様が盆栽をされていて、この魅力を次世代にも伝えたいと思っていたところまちづくりの空き店舗情報を得てこちらに店舗を構えることになったとか。盆栽は海外では人気があるものの、日本の若い世代には今一つ受け継がれていない。お店の形にしてだれでも入りやすくしてあるのも、暮らしの中に置いて気軽に楽しんでもらいたいからと語ります。盆栽販売のほか、盆栽づくりのワークショップをされています。盆栽を見るのが好きな私は、心底そのお話しに共感するのでした。

三本日和

三本日和

みくに園

みくに園

そうこうしているうちにお昼時になりました。お蕎麦をいただきに三国で四代も続く「そば処盛安」へと向かいます。
奥が深い三国湊の町は一日ではとても回り切れない気がしました。今度はかなこさんおすすめの「詰所三國」に一泊し、ぜひ三国を満喫してみたいと思いました。

そば処 盛安

そば処 盛安

詰所三國

詰所三國