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お任せくじ引き入学

佐々木美穂(イラストレーター)
1987年~1989年在籍

セツに入学したのは、1987年の春。春と秋の年に2回入学できるチャンスがあって、実は前の年の秋にも入学を試みたのだけど、くじ引きで落ちました。セツの入学がくじ引きになって、間もない頃だったと思います。それまで先着順だったのが、あまりの人気に前の晩から並ぶ人が出てきちゃって、ご近所迷惑だからくじ引き制に変えたようです。

くじを引くために福井からセツに辿り着き、箱の中に手を入れて、ハズレくじを引いた時のあっけなかったこと!友達の家に1泊して慰めてもらい、翌日福井に帰ったことを覚えています。「ハズレ」をまた引きたくなくて、春の時は「学校にくじ引きを任せる」という選択にしたら、晴れて入学と相成りました。それにしても、先着順とか、くじ引きとか、さらにはくじ引きを学校に任せる選択があることまで、いちいちセツらしかった。

セツ先生はいつも、生徒たちと一緒にデッサンをしていました。当時はそれを普通のことと思っていました。鉛筆の音、描いている姿、先生のデッサンを目の前で見て感じたこと・・・、セツの日々を振り返れば、どの瞬間もとっても贅沢な時間だったんだなと。
 絵以外のこともたくさん教わりました。飲み物にも「下品」なものがあること、休息時間には、中庭で淹れたてのおいしいコーヒーやカフェオレを飲み、かわいい男の子の吸いかけのタバコを横取りしてもいいこと、などなど。

1988年の春、「セツ・モード ヨーロッパ水彩の旅」に参加しました。旅の前の説明会で、大切なことのひとつとして「ディナーのための服を用意してきなさい」と。旅の行程に、ヴェネツィアの超高級ホテル宿泊が含まれていて、ここぞとばかり、みんな旅一番のおめかしをして集ったディナー。華やかで嬉しくて、そのヴェネツィアの夜を今も時折思い出しています。
 

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  1. 星信郎ゆう より:

    くじ引き入学なんて今となってはお笑いぐさですね、しかし、あれはあれで苦肉の策でしたよ。セツの生徒の受け入れは「来るもの拒まず」でした。 抽選日に本人が福井から来て自分で引いても僕たちが代行しても全く同じ条件でした。同じあの箱の中に手を入れて佐々木美穂さんの当選券を引いたのは僕だったかも知れないよ。
    あのころは目黒みよさんがセツカフェでバイトをしていましたが、新入生の佐々木美穂さんがひときわ目立っておしゃれと、みよさんと語ってました、、、それから今も粋な人生ですね。 セツ先生のグリーンのセーター、あのかっこうで僕も目にやきついてます、懐かしい!

    • 佐々木美穂 より:

      星先生、嬉しいコメント、ありがとうございます!
      当たりくじを引いて下さったのは、ほんとに星先生かもしれない。そんな気がしてきました。
      私がおしゃれだったと星先生に記憶してもらえてたのはすごく光栄なのですが、
      誰か別の人と間違ってません?と思ったりもしてしまいました。
      セツ先生のグリーンのセーターにウェストポーチ、描きながら私もなつかしく思い出しました。

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