news letter 「住まいと健康」を考える 東賢一

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WHOによる化学物質のリスク評価ネットワーク

化学物質は私たちの日常生活に不可欠でありますが、人の健康に対して意図しない危害をもたらすことがあります。世界の疾病負荷のうち、約25%は化学物質への曝露を含む環境要因に関係していると考えられています。

化学物質の生産と使用量は世界中で増加しており、有害な化学物質への曝露に対するリスク評価とリスク管理の重要性がますます高まっています。

そこで世界保健機関(WHO)は、化学物質のリスク評価に関する知識のギャップと今後の課題を整理し、そのための情報交換と共同作業を行うネットワークを立ち上げることになりました。

WHOは、7月1日にこのネットワークへの参加募集を開始しました。対象者は、国や公衆衛生の機関、政府間組織、学会等の専門機関、WHOの共同研究センター、WHOと関係するNGO、その他非営利組織となっています。
http://www.who.int/ipcs/networks/ranetwork/en/index.html

現在、化学物質の管理については、国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)が進められており、日本では環境省が中心となって取り組んでいます。ここでは、2020年までに化学物質が健康や環境への影響を最小とする方法で生産・使用されるようにすることを目標に掲げたドバイ宣言があります。
http://www.env.go.jp/chemi/saicm/

今回のWHOのネットワークは、SAICMの目標を促進することにも関係しています。

世界的な化学物質管理の動きの1つとして、紹介いたしました。

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アメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE)による室内空気質設計ガイド

アメリカ暖房冷凍空調学会(American Society of Heating and Air-Conditioning
Engineers: ASHRAE)は、同協会が2009年10月に出版した室内空気質設計ガイドを2013年6月25日に無料で同協会のホームページに公開しました。

この設計ガイドは、アメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE)、アメリカ建築家協会(American
Institute of Architects)、国際建物所有者管理者協会(Building Owners and
Managers Association International)、米国板金空調工事業協会(Sheet Metal
and Air Conditioning Contractors’ National Association)、米国グリーンビルディング協議会(U.S. Green Building Council)、米国環境保護庁(U.S. Environmental
Protection Agency)が共同で製作したものです。

湿気管理、換気、空気フィルター、空気の清浄化、汚染源管理について、良質な室内空気質を達成するための40の戦略が解説されています。

2013年6月25日付けのASHRAEによる紹介記事
https://www.ashrae.org/news/2013/enhanced-indoor-air-quality-encouraged-through-free-download-of-iaq-guide

Indoor Air Quality Guide: Best Practices for Design, Construction and
Commissioning
https://www.ashrae.org/FreeIAQGuidance

総ページ数が700ページを越え、約72MBのファイル容量があります。また、ダウンロードするには氏名及び所属等を登録する必要があります。簡単な登録のみでダウンロードできますので、ご関心のある方は、まずは上記の紹介記事にアクセスしてください。

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ホルムアルデヒド曝露防止に関する米国環境保護庁の施行規則

2013年6月のトピックでは、先日発表されたホルムアルデヒド曝露防止に関する米国環境保護庁の施行規則を紹介します。

米国では、ハリケーンカトリーナで被災した住民の避難施設として、仮設住宅(主としてトレーラーハウス)を設置しましたが、内装材に使用された合板から放散されたホルムアルデヒドで健康被害を訴える事例が相次ぎました。この被害事例を受けて、先行してカリフォルニア州がホルムアルデヒド放散建材の規制を行いました。その後、米国環境保護庁も、同様の規制を検討し、「複合木材製品のホルムアルデヒド基準法(Formaldehyde Standards for Composite Wood Products Act)が2010年に米国議会 で採択されました。この法律の施行規則は、2013年までに制定される予定でしたが、その施行規則が2013年5月29日に米国環境保護庁より提案されました。以下に提案された2つの施行規則とその規定項目を記します。

施行規則1:複合木材製品のホルムアルデヒド基準法の施行規則
・同法に準じた複合木材製品からのホルムアルデヒド放散基準の設定を規定
・本規則の対象は、米国で販売・供給・製造・輸入される硬質合板(Hardwood plywood)、中質繊維板(medium-density fiberboard)、パーティクルボード(particleboard)、これらの材料を含む商品(finished goods containing these products)とし、木材加工工程の残留物 や、熱や湿気で樹脂が劣化するにつれ放散されるものも対象とすることを規定
・試験条件と製品ラベルを規定

施行規則2:第三者認定機関による認証の枠組み
第三者認証機関、その機関の認定を行う認定機関の資格要件や責任も定め、製品が国内・国外のいずれで生産されても、放散基準の遵守を確保することを規定。第三者認証機関の業務は以下の通り。
・複合木材製品製造業者の定期監査
・ホルムアルデヒド放散試験の実施と検証
・複合木材製品製造業者の品質保証、品質管理方法、試験方法が本規則に準じていることを保証する

詳細な施行規則の提案内容については、まだ公表されておりませんが、速報としてお伝えします。

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