其之六 花の香りがするお茶 其之七
「茶館」で過ごす時間

銀杏の樹が綺麗な黄色に色づいてきました。時期に銀杏の実が落ちて、それを踏まないように道の端を歩く自分の姿が思い浮かびます。福岡の冬はもうすぐそこまでやって来ています。寒い冬の日に、温かいお茶を飲んで温まりながら、友人と楽しい時間を過ごしたいものです。


日本で「お茶をしよう」と行く場所となると、席が少なくてなかなか座れなかったり、一人だったら一杯飲んですぐ店を出てしまったり、長くいるとしてもお茶を飲みきってしまったらあとはお水で・・・なんて感じですね。中国での「お茶」はちょっと違います。「茶館」と呼ばれる店があり、1日の多くの時間を茶館で過ごしたりもするのです。ちょっと高級な茶館だと、ドアにお出迎えの方がいて席まで案内してくれます。お茶を1種類選ぶと好きなだけお湯を足し飲むことができて、おまけにお茶請けがビュッフェ形式で食べ放題! 甘いお菓子や果物だけでなく、麺類やご飯類、お肉やお魚まで!! 時間の制限もないので朝から夜まで居たって大丈夫です。また別の茶館では、椀子そばかのようにどんどん茶請けが運ばれて来たりするところもあります。お店には舞台があるところも。そこで生演奏があったり、茶藝を見ることができたりさまざまです。もちろんこんな茶館ばかりではなく注文をしたものだけが出てくる茶館もありますし、風情のある茶館も数多くあります。


そもそも中国では「喫茶」をする文化が茶の文化と共にあります。昔、飲茶は貴族や富裕層、文人達のものでした。文人達は茶を愛し、茶に関する詩も多く残しています。やがて喫茶の文化は庶民にも広がり、中国の人にとって欠かせない習慣の一つとなりました。


「茶館」は社交の場としても使われてきました。現代ではビジネスの場所でもあるようです。最近では日本でも「パワーランチ」といわれランチをとりながら商談や会議をしたりするようになりましたが、これは時間の節約の意味も含まれているようです。それとは対照的にゆったりと、お茶の香りを感じながらの商談であれば互いにリラックスして仕事ができそうですよね。日本にもそう多くはありませんがステキな茶館が各地にあります。旅の楽しみの一つに、出張先での待ち合わせに、いつもよりもゆっくりと流れる時間を楽しんでみてはいかがでしょうか?