其之六 花の香りがするお茶 其之六
花の香りがするお茶

あんなに暑かったのに、スイッチを切り替えるように秋がやって来ましたね。ひんやりとした風とともに、ほのかに金木犀の甘い香りが漂って来ます。心地よい季節ですね。


お茶の中でも花の香りがするものがあります。中国茶ならジャスミン茶。紅茶はベルガモットの香りをつけたアールグレイティーなどがあります。ジャスミン茶は中国緑茶にジャスミンの花の香りをしみ込ませたものですが、中国茶の中には花などで香りをつけなくても、華やかな香りがするといわれるお茶が数多くあります。黄金桂(オウゴンケイ)は金木犀の香り、文山包種(ブンサンホウシュ)はスズランや蘭の香り、鳳凰単叢(ホウオウタンソウ)はマスカットや桃、梨などや蘭の香りがすると言われます。「お茶の葉だけでこんなたくさんの香りが作れるわけ、ないじゃない」と思われることでしょう。でも、たしかに香りがするんです。ほんとうに不思議ですが、これが中国茶の奥深さではないかと思います。そのあまりの香りのすごさにショックを受けたものも・・・鳳凰単叢の芝蘭香を飲んだ時でした。「うっ!(トイレの芳香剤の臭い!)」この時の衝撃が強すぎて未だに芝蘭香を飲めないでいる私です。(わたしの求めた茶葉が特殊だったのかもしれません。もし機会がありましたら飲んでみてください。そしてどんな味だったか、ぜひ感想を聞かせてください(笑))


鳳凰単叢は香りがフルーティーでも、飲んでみると苦く感じるものがあります。香りと味のギャップも楽しめます。脂っこいものを食べた後に口の中をきゅっと爽やかにしてくれますよ。


さてもうすぐ「仲秋の名月」ですね。今年は9月30日だそうです。日本では月を愛でながらお月見団子などをいただきますが、中国でも「中秋節(チュウシュウセツ)」というものがあり、中国では「中国三大節句」の内の1つです。家族皆で集まって月餅を食べたり、丸い果物を食べたりして団らんを楽しむそうです。今年は花の香りのする中国茶と月餅でいつもとはちょっと違う「お月見」を楽しまれてはいかがでしょうか?