其之壱 肌寒い季節に「祁門紅茶」 其之壱
肌寒い季節に「祁門紅茶」

秋も深まり、福岡でも夕暮れがすっかり早くなりました。肌寒い風が温かいお茶を恋しくさせます。こんな時私が飲みたいのは、緑茶でも、コーヒーでもなく、紅葉で赤く染まったもみじのような色のお茶です。


中国茶には沢山の種類のお茶が有りますが、それぞれ発酵度によって六種類に分類する事ができます。そのなかで「紅茶」という分類が有るのをご存知でしょうか?「紅茶はイギリス発祥の飲み物じゃない?」と言われるかもしれませんが、英国の紅茶のルーツは中国との茶の貿易にあります。英国に渡った中国紅茶はイギリス人を瞬く間に魅了していきました。


中国紅茶のなかで有名なのが「祁門紅茶(キームンコウチャ)」です。ダージリン、ウバに並ぶ「世界三大紅茶」の一つで、香りは蘭の花のようだとよく例えられます。口の中には甘さが残り、ほんの少しスモーキーな味がひろがります。渋みや苦みを感じる事はほとんどありません。祁門紅茶は丁寧で手間のかかった「工夫紅茶(コンフコウチャ)」ともいわれることから貴重なお茶であることがうかがえます。


祁門紅茶は世界の紅茶ファンにも有名な中国紅茶ですが、私のおすすめは「九曲紅梅(キュウキョクコウバイ)」です。口当たりは爽やかで、蜜のような甘さの余韻が長く続きます。「紅茶」のイメージで飲むとちょっとあっさり?なんて感じるかもしれませんが、一度飲むとこの甘さの虜になるかもしれません。


また「紅茶」のように色の濃い水色のお茶は体を温める効果があるとも言われています。寒くなるこの時期に頂くお茶としてはうってつけです。普段はコーヒーしか飲まないのという方にも中国紅茶は渋みや苦みが少ないので飲みやすくおすすめです。仕事の疲れを甘いお菓子と一緒に中国紅茶で癒されてみてはいかがでしょうか?