雑誌「チルチンびと」別冊44号掲載 埼玉県 ㈱小林建設

パッシブデザインをテーマにした 新たな提案型モデルハウス

 2013年2月に竣工した 小林建設の新しいモデルハウス「コバケンLaBO」Laboratory(実験室)の名前のとおり 太陽熱と太陽光、風、地冷熱などを生かすパッシブデザインが、 幅広くとりいれられている。  小林建設  発祥の地・児玉町に  地元の木で建てた  モデルハウスを  埼玉県と群馬県で年間約40棟の木の住まいを手がける地域工務店・小林建設。これまでモデルハウスとしては、群馬県高崎市に「陽栖 高崎展示場」、埼玉県本庄市に「eco shop ひのすみか(本庄展示場)」を展開してきた。同社の小林伸吾社長は「次にモデルハウスを建てるときは、埼玉の地域の木を使い、地域の職人の技で、当社の核となる建物をつくりたいと考えていました」と語る。  その新たなモデルハウスの建設地としては、祖父母の代から小林建設と縁のある児玉町の本社敷地内を選んだ。八王子と高崎を結ぶJR八高線の児玉駅の目の前という立地だが、人口約2万人の小さなまちは、地方の多くのまちと同様、商店街がすたれるなど元気をなくしつつある。「この場所は祖母の実家で、当時地場産業だった瓦工場を営んでいた土地。祖父が児玉町で大工の仕事を始めて、父と私はここで生まれ育ちました。疲弊しつつあるふるさと・児玉町に元気のいいところを見てもらいたいという思いもあって、新しい展示場はここに建てようと決めたんです。だからこそ、地元の素材と技を生かして、洗練されたデザインで建てたいと思ったのです」。  地元の木材と大工の技を生かすこと、これまで小林建設が取り組んで来たパッシブデザインを生かした本物のエコハウスであること、そしてデザインが洗練されていること ―― 小林社長が新たなモデルハウスに求めたのは、いわば同社の集大成であり、さらに未来を拓くシンボルとなる建物だ。そのため設計は3年前に「自立循環型住宅研究会」で知り合った住まいと環境社の野池政宏氏、MSDの三澤文子氏、そして小林建設の3者のコラボレーションで行い、実験的ともいえるモデルハウスを実現させた。   太陽熱、太陽光、風、地冷熱   自然の力を生かしきる  パッシブデザインのメインとなる太陽光と太陽熱の利用については、太陽熱と太陽光を同時に使うOMクワトロソーラーシステムを導入。南側に太陽光パネルを載せた大きな屋根を設けているが、その先端部がガラス張りになっており、このトップライトが、玄関から入ってすぐのサンルームに光と熱を導いている「我々は南側に大きいカタチを〝への字屋根.と呼んでいるんですが、太陽の力を生かせるこの屋根を採用されるお客さまが増えてきています」(小林社長)。  このほかにも、風を有効に導くため、格子網戸や風の量を調整可能な無双窓 などを効率よく配置したり、地冷熱を生かして夏もエアコンいらずを実現した1階の寝室など、自然の力を生かす工夫が随所に取り入れられている。  さらに、間伐材利用につながり、小林建設の住まい手にも人気の薪ストーブのコーナーも設置した。「ストーブのコーナーはあえて北側に設置しました。通常は南側に設置することが多いですが、そうすると庭とのつながりをストーブが邪魔してしまうことがあるんです。北側の炎の心地よさと南側の抜け感を体感していただけたら」(小林社長)。  このほかにも、1階と2階をつなぐ大きな吹き抜けや住まいのまわりの庭など、仕掛けももりだくさん。「このモデルハウスでは、エコロジーやパッシブデザインを楽しさに結びつける提案をしています。導入した仕掛けや用いられている技術の中から、部分部分で活用できるところを"良いところどり"をしていただければと願っています」と話す小林社長。2013年のグッド・デザイン賞も受賞したこの新たなモデルハウスには、同社のめざす姿や意気込みがつまっている。

ページ数:8

このコンテンツを閲覧するには、FlashPlayer9以上がインストールされている必要があります。またJavascriptを有効にする必要があります。

ページ 1 2 3 4 5 6 7 8