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私の中のセツらしさ

サクラチエ(お野菜食堂のコック)
1996年~1999年在籍

私は近所の商店街で60年八百屋を営む八百萬でお野菜食堂のコックをしている。お野菜たっぷりのサラダ、小鉢、デザート付きのお肉とお魚のA.Bランチを中心に、カレーやグリーンスムージー、コーヒーも出す、やおまんキッチンというお店。

そんな私がセツに通っていたのは、今から20年以上も前の1996年から。大原のセツ先生最後の写生旅行にも一緒に参加した。当時、セツ先生はたまにふらりと現れて、絵を描かれたりコーヒーを淹れてくれたりしていた。教室に入ってくると一瞬で空気が変わってしまうような圧倒的な存在感。

セツ先生が隣に座ろうものなら、心臓の音が聞こえちゃうんじゃないかと思うくらいに緊張した。今ならきっと全然平気なのにね。
 でも、私にも何回かセツ先生とおしゃべりした思い出がある。

その日、午後部の生徒はまばらで、コーヒーを淹れているセツ先生の前に並んでいる生徒はいなかった。
 私がコーヒーくださいと、1杯分のお金を置くと『美人には2杯やる』ニッコリされ、2杯もらった。鼻血が出るかと思うくらいのぼせて席に戻った。友人たちとセツ先生の審美眼はチョット変わってるという話をよくしていたので、さっきね。と興奮気味に話すと、何だか笑われたような記憶が残っている。
本当はこういう事だったのかなあと思っている。『最近のセツの生徒はどんな事に興味あるのかな~。よし、お前、そこの見た事ないお前、俺の会話をキャッチしろ』
 セツ先生はどんなセツ生徒にでも、先生とお話出来るチャンスをくれていた。少しでも掘り下げてセツ先生を知ろうとするなら、結構な会話テクニックが必要だったかもしれないが、笑われても怒られても上手じゃなくても、もっと正直に近づこうとすれば良かった。

私がセツを卒業してから、やって来たお仕事と言えるものは、ほとんど友人から頼まれたものだ。どれも非常に有り難く、私がセツだったのでという理由でお願いしてくれる、楽しくてやりがいのあるお仕事ばかりだった。まず、友人の弟さんがお医者さんで、ご本人とその母上のためにいびき防止枕を作り、製品化するからと太いゴムや生地を選んで、試作をしたりした。それは製品化され、韓国のテレビが取材に来たらしい。
 パフォーマーの友人から頼まれて、メイクと衣装を手伝っていろんなライブハウスを回った。レストランをやっている友人に頼まれて、お店のマークとロゴのデザインをさせてもらい、入り口に畳一畳ほどの絵を描かせてもらった。今でも、そのスウェーデン料理のお店のクリスマスカードを毎年描かせてもらっていて、結構サンタクロースを上手に描ける。喫茶店の壁にも絵を描いた。それもやっぱり、 頼まれて。

その私のお仕事の中には必ず、セツらしさ、私が学んだセツらしさが現れていて。ちょっとでも素敵なように、楽しいほうが、良いでしょ♪と思いながら、どんな頼まれごともこなして来た。
 顔も名前も出ることはないのだけれど。
 軽くて弱くて上品で、優しく素敵になるように。
 私が学んだセツらしさを、少し盛り込んで。

誰も普段座らない、お野菜食堂のテラス席に、庭の小さな花をジャムの空き瓶に挿しておいているのは私だ。
 

4 Comments | RSS

  1. 祖師谷大蔵住民 より:

    お野菜食堂、ときどき行きます。

    • サクラチエ より:

      コメントありがとうございます。嬉しいです♪
      お野菜食堂来週は金曜日まで店内改装工事の為お休みなのです。
      少しだけ模様替えして新しくなったお店で、美味しくてカワイイお野菜達とお客様がいらっしゃられるのをお待ちしております☆

  2. 星信郎 より:

    蚊トンボのようなデホルメ、さぞかしセツ先生が見たら歓喜の叫びでしょうね。
    ご自慢のアーチ型窓の前で ご自慢のコーヒーを淹れてる姿は、セツの誰もが甦る先生の定番でしたね。 静かで上品で凛とした雰囲気が、構図うまいね。

    「野菜をたくさん食べましょう」

    • サクラチエ より:

      星先生☆
      こんばんは

      コメントありがとうございます。
      とっても嬉しいです♪

      絵を褒めていただけるなんて、なんか緊張しますね。
      お野菜ももちろんですが、お肉やお魚もいっぱい召し上がってこれからもずっとお元気でいらしてくださいね。

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