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自然食を味わいながら塗り壁を楽しめる自然食レストラン「NaTuLa 神田店」は、店内の内装も自然にこだわり、化学材料の一切入っていない漆喰で土の壁を塗り、目を楽しませるポイントには土の磨きである大津磨きのデザインで飾っている。こちらの壁を手がけたのは小沼充さん。内装を手掛けたのは、美術家木村謙一さんだ。

写真説明

漆喰と色土の自然の壁に囲まれた潤いのある店内

小林澄夫さんに聞く

Q なぜ、わざわざ土を磨くんですか?
今はね、いろんなタイルやコーティング素材があったり、水回りに強い丈夫な素材がいくらでもあるけれども、昔はそういうものはないでしょう。だから何度も土を塗り重ね、何度も上から磨いて磨いて、固めて仕上げた。そうすると、こんなふうにえもいわれぬ光沢が出てくるんですね。手間も時間も技術もかかる、とても贅沢ですが、見た目にも美しいし丈夫な仕上げです。
Q こちらではいろんな色を使ってますけれども、大津磨きにもいろいろな色があるんですか?
自然の土の色、白土、赤土、浅葱色の土、黄色い土などを混ぜることによって色を出しますね。鮮やかな色を出すには、顔料などを混ぜることもあります。しかしやはり、ペンキで塗ったのとは全く違うやさしい味わいがありますね。
Q ずいぶん細かいデザインですが、昔もこういう感じで飾りとして使われていたのでしょうか。
これは、ちゃんと細かく型をとって、わざわざこの一面の漆喰の中に細かい大津磨きを施すことで、飾りタイルみたいな効果を出していますね。現代なら簡単に絵を付ける方法がいくらでもあるのに、わざわざここで大津磨きを使うところがとても洒落ているところです。昔は壁として塗られたのでこういう使い方はなかったでしょうね。

■ 大津磨きとは
大津磨きは土と石灰を混ぜた大津壁を磨き仕上げにしたものである。まだタイルや合成樹脂がなかった時代、トイレの壁や傷みやすい廊下まわりの壁、かまどなどの仕上げに塗られたもの。大津磨きの壁には、自然の土の色のなにものにも代えがたいやさしいツヤがある。

京都島原の廊下の赤の大津磨き壁、伊勢赤福の店のシンボルの赤の大津磨きの三連竈

 

 

[左]京都島原の廊下の赤の大津磨き壁
[右]伊勢赤福の店のシンボルの赤の大津磨きの三連竈

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