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沖縄の赤瓦の民家の屋根に乗っている聖獣シーサーは沖縄のシンボルといってよいが、この漆喰で造られたシーサーは、沖縄の屋根職人が仕事おさめのお祝いとして造ったものである。

新宿代田橋の沖縄産のお店が集まる沖縄タウンに、このシーサーの見られる本格的な沖縄料理店「てぃんさぐぬ花」があって、泡盛の古酒はもちろん、沖縄民謡のライブも聴ける。

①  沖縄のシーサー職人が造った赤瓦と沖縄漆喰で造ったシーサー。台は沖縄から取りよせた琉球石灰岩
①  沖縄のシーサー職人が造った赤瓦と沖縄漆喰で造ったシーサー。台は沖縄から取りよせた琉球石灰岩

小林澄夫さんに聞く

Q 沖縄のほかにも屋根漆喰はあるのでしょうか?
屋根漆喰は日本でも台風の影響のある太平洋岸の港町ではよく見られる。内陸で特に風の強い地方で見られることがあるが、雪の多い日本海側では見られない。三角屋根の赤や黒の瓦、上の白のだんだら模様の飾りは台風の落し子といってよい。
Q 沖縄へ行けばいまでも漆喰で造られたシーサーは見られますか?
戦前の沖縄では何処でも見られたが、沖縄戦のあと、伝統的な赤瓦屋根の民家が失われるとともに見られなくなって、いまでは文化財として残された民家のほかは見られることはまれである。

■沖縄漆喰とシーサー
沖縄の漆喰は、石灰と海藻糊と苆を混ぜた日本の漆喰とは違って、サンゴを焼いて稲藁を加え海水でそのまま沸化した練り漆喰です。地元の言葉でムチまたはムーチという。常襲する台風から赤瓦の屋根を守るための屋根漆喰として塗られた。シーサーは琉球王朝時代、瓦が中国大陸から伝わって来てから中国の道教の影響もあって魔除けのまじないとして、屋根職人が屋根仕事で余った残材の赤瓦のかけらと漆喰で造ったものである。

 

獅子の形をしたシーサー。その姿は千差万別で職人の性格や仕事場の雰囲気がおのずからあらわれた祝福の芸術といってよい。

獅子の形をしたシーサー。その姿は千差万別で職人の性格や仕事場の雰囲気がおのずからあらわれた祝福の芸術といってよい

沖縄の伝統的な民家

沖縄の伝統的な民家

沖縄瓦(雄瓦と雌瓦がある)をしっかりとすきまなく止めた屋根漆喰

沖縄瓦(雄瓦と雌瓦がある)をしっかりとすきまなく止めた屋根漆喰

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