01 ねずみ漆喰の壁のみられるお店 Re:gendo りげんどう

Re:gendo りげんどう」は、中央線の西荻窪駅南口のアーケード街の路地に戦前の木造住宅を改装したギャラリーを兼ねたカフェ・レストラン。昭和初期の文化住宅の木舞泥壁に漆喰仕上げの壁をそのまま活かしてお店にリフォーム。なつかしい昔のねずみ漆喰壁が新しいセンスでよみがえり、本物の塗り壁がお店の空間の質を高めている。こちらの壁を手がけたのは、品川博さんだ。

小林澄夫さんに聞く

Q まず、なぜ、ねずみ色にするんですか? 汚れやすいから?
いやどうかなあ(笑)そういうこともちょっとはあるかもしれないけれども、白でもない、黒でもないおとなしい中間色が誰にでも好まれたのかな。浅葱っぽい薄墨色のねずみ漆喰は美しいし味わいがありますよ。やはり化粧をするということでしょうね。
Q このねずみ色は濃度などは決まっているんですか?
薄い色も濃いのも顔料の松煙の配合によってはいろいろな濃さがありますよ。顔料をよく混ぜるだけじゃなくて、天気や温度によっても色の濃さが違ったり、塗りむらも出やすいから、技術がないとこういう仕上げは難しいですね。
Q ねずみ色の他にも色の種類はあるんですか?
真っ白が基本ですが、色々な顔料を混ぜて、さまざまな色の漆喰がつくれますよ。黄色いタマゴ色の漆喰も綺麗だし、黒漆喰といって本当に真っ黒のものもあります。これはなかなか風格がありますね。
Q 真っ黒もあるんですか!かっこいいですね。たとえば強度は色によって違ったりするんですか。
黒いものはそれだけ石灰が少ないので白いものと比べると脆いのですが、それを何度も塗りかえて保っていくにも非常に労力もお金もかかりますし、一種のステイタスでもあるわけです。

□ ねずみ漆喰とは
漆喰は、消石灰と麻のスサを海藻の糊で混ぜたもので、お城や土蔵の白壁に塗られた。ねずみ漆喰はそうした白漆喰に松煙(黒の顔料)を混ぜ灰色をした漆喰で、農家の長屋門や住宅の玄関壁によく塗られたものである。黒漆喰の壁とくらべ庶民的な壁といってよい。

 

[左]下町の住宅の玄関によくみられるねずみ漆喰
[右]ねずみ漆喰の色と肌

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