坂手は斜面に家々が立ち並び、少し高いところにいけばどこからでも海を望むことができる港町です

はじめまして。突然ですが、「小豆島」をご存知でしようか?

瀬戸内海のなかで、淡路島についで二番目に大きい島です。小豆島町と土庄町の2つの町で構成され、人口は島全体で約3万人。特産品は醤油、オリーブ、そうめん、佃煮などがあります。そこそこの大きさがあり、産業や自然に恵まれていることもあって、平成25年度では両町合わせておよそ134世帯、183人の移住(Iターン・Jターン)がありました。私もそのうちのひとり。地域と関わって暮らしていきたいという思いで、小豆島に移住してきました。

地方での暮らしをはじめるにあたって、まず大きな問題となるのが、仕事と住居です。最近のニーズで言えばイ・職・住(インターネット環境・職業・住居)といったところでしょうか。
小豆島町では光ファイバーが2012年に整備され、島内ではフリーランスで働くグラフィックデザイナーやプログラマーが増えつつあります。ハローワークの有効求人倍率も1.38倍(平成27年度1月末現在)と地方の中では比較的高い水準にあります。

海の近くにはやっぱり猫がいます

住居に関してはどうでしょうか。例えば、私が暮らしている坂手という地区では、6件に1件が空き家の状態です。しかし、それらが賃貸や売買できる物件に行き着いていないというのが現状です。空き家がすでに廃墟になっている場合を除いても、仏壇や家財道具が残っていることや、法事のために帰省する家が必要などの理由から、積極的な活用には至っていません。活用されなくなった空き家は傷みが早く、またそのような家が増えると活気がなくなり、町全体のイメージの低下に繋がります。

自由な犬もいます

インターネット環境や仕事と比べると、住居の確保は持ち主の気持ちの問題もあります。すでに別の土地で生活していても故郷の家を知らない人に使われることに抵抗があったり、家財や荷物の整理がつかないでいるうちに、少しずつ建物が老朽化したりすることで、足が遠のいていくのかもしれません。

ジャンボフェリーが神戸と高松を行き来する途中に坂手港にきてくれます

こうした複雑な状況や心境によって、解決できないでいる空き家の問題に興味をもち、何かいい解決策がないだろうかと思ったのが半年前。縁があって移住した小豆島の空き地・空き家について考えを深めようと、現在NPO法人の立ち上げを目指して奮闘中です。これからどのようなことが起きるのか私も分かりませんが、この取り組みを通して全国さまざまな方々と情報共有が出来れば幸いです。

細い路地、斜面地、港町。瀬戸内海の風景が色濃く残っているように感じます

プロフィール

向井達也
1989年奈良県生まれ。京都造形芸術大学空間演出デザイン学科修了。dot architects(建築)のスタッフとして家具や店舗什器制作、展示設営などを行う。瀬戸内国際芸術祭2013をきっかけに香川県小豆島町に移住。現在は小豆島町地域おこし協力隊として芸術祭で作られた建物を活用した取り組みや空き地空き家の再生プロジェクトなどを行なっている。
プロフィール写真
Photo:Hideaki Hamada

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