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あの頃の1枚

めぐろみよ(イラストレーター)
1984年~1994年在籍

セツ・モードセミナーに通うことからスタートした、私の東京での暮らし。あれから随分と月日が流れ、いろんな経験を経て、歳も重ね、セツに通っていた「あの頃」は、今ではすっかり遠い過去の思い出となりつつありますが・・でも、そんな私にとっても、セツはいろんな意味で「私の原点」であることは間違いないと思っています。
 アトリエで人物クロッキーや水彩画を描き、ロビーで先生や仲間たちと雑談を交わし、セツ・ゲリラになって、セツのカフェでアルバイトをして・・・と、こんな風に過ごしたセツでの日々は、あっという間に2年、5年、10年と過ぎていきました。最初は2年間だけ通うつもりで入ったのに・・・(笑)。
 当時、まだ若かった私にとってはどれもこれもが新鮮で、そして居心地が良く、いろんなモノの見方や感じ方、価値観までもが良い影響力となって、知らず識らずのうちに自分の中に染み込まれていったように思います。

以前、私が単行本を出した時、その出版記念パーティーをセツで開かせていただいたことがあります。1階入口のギャラリーを始め、ロビーや階段に至るまで、私の絵や作品をたくさん展示させていただいた貴重な一日。
 そしてその時の記念にと、屋外の階段でセツ先生と一緒に撮った、今でもずっと大切にしているモノクロームの写真があります。秋の穏やかで柔らかい日差しの中、頬にあたる風の感触まで・・今でもよく覚えています。
 撮影した日、実はこのとき私は愛犬も連れていたのですが、私とセツ先生に向かって「一緒に写真に加わりたいよ〜」とでも言っているかのように、「クンクン」と甘えてすすり泣く小犬の姿に、「なんだか犬って可愛いもんだねぇ」と目を細めるセツ先生の姿、そして意外に思えたそんなセリフ。
 薄れゆく私のセツでの記憶の中で、セツ先生と階段に座って撮ったあの日のことだけは、今でも鮮明に蘇ってくるのです。

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  1. 星信郎 より:

    目黒みよちゃんの出版記念パーティー、懐かしく鮮明に蘇ります。みよちゃんの作品群大陳列で、土器典美さんのお友達料理家はヘルシー野菜を盛り上げた。 セツ先生も僕も大の野菜好き、この時とばかりに、おおいに貪った。 ところが峰岸達先生は大のお酒好き、「なんだ野菜ばっかりぢゃねえか」とかイチャモンつけてましたなぁ。

    みよちゃんは、生徒のころからイラストレーションやテキスタイルの仕事が忙しくなってたようで、そのうえセツのカフェバイトもしていましたね、あの半月型のテーブル台にピンク色ギンガムチェックのテーブルクロスはみよちゃんカラーに染まってた。そして 、忙し過ぎるみよちゃんはカフェバイトの遅刻もたびたびで、、、大丈夫、そんな時は優しい清水先生がいて、僕もコーヒー淹れましたよ。良き時代でした。

    • めぐろみよ より:

      今回、私のセツ物語を書かせて頂いたことで、セツ一色に染まっていた「あの頃」を、久しぶり懐かしく思い出し…感慨にふけってしまいました。ホントに良き時代でした。
      私が今でも大事にしている写真がもう一枚あります。ロビーでセツ先生と星先生が並んで映っている写真なのですが、お二人ともカメラ目線じゃなく全く自然体なんです。そして、お二人とも若くてかっこいい!
      もちろん、星先生は今でもかっこいいです。

  2. サクラチエ より:

    こんにちは。
    めぐろさんの横で、なんだか可愛らしく写っているセツ先生の写真。素敵な写真を載せてくださりありがとうございます。
    私は1996年からセツに通っていたのですが、通おうと思った理由の一つに、めぐろみよさんの、雑貨が好き、手作りが好きという本との出会いがあります。当時台北に住んでいて、日本に戻ったら何かしたいと毎日考えていた時に、手にしたその本には、私の大好きなものがたくさん詰まっていました。今も大事な一冊です。
    私のセツ物語で、めぐろさんのお話を読めて、とってもうれしいです。
    ありがとうございます

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