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おまえ達ィー

野崎 一人(イラストレーター)
1972年~1974年在籍

踊るように階段を下りてきて「おまえ達ィー」セツ先生は今日も元気です。
 1972年に私は20歳で長沢セツ・モードセミナーに入学しました。当時は先着順で入学できたので誰でも入れました。「すべての人に才能がある」それを試験などという枠で選別するのはオカシイというのがセツ先生の考えです。有名人が経営している学校にありがちな、名前ばかりで、先生の顔を見たのは入学時のみ、という学校とは違い、セツは異色でした。ほぼ毎日先生が顔を出し、生徒に語りかけるのです。学校の中に住居があるわけですから、あたりまえと言えばそれまでですが。
 生徒は誰もが「おまえ」で呼ばれます。「名前はまだ無い」まるで「漱石」の猫です。自我の強いガキ達には、ピッタリの呼び名です。
 先生は、奇をてらう話や、格言のような事は言いません。冗談を交えて、普通の平易な言葉で話します。ある時はコーヒーの美味しい飲み方について。デッサンについて。「おまえ達は、風景を描く時、すぐに遠くを薄い色で描くでしょ。そんなことは無いのヨ、遠くても色は濃いノ。わかったー!」
 説明不足でコレはよくわかりません(苦笑)。
 孤独ということの意味について。男と女の恋愛。同性の愛について。フランス人について。森羅万象をかるーい口調で世間話のように話すので、あれは哲学的な話だったのだ、と気づいたのは、随分あとになってからです。
 1999年6月23日 先生は、セツの写生会で行った千葉の大原での自転車転倒事故がもとで82歳で逝去しました。
 でも、私の心の中にセツ先生は今も生きています。先生が生徒達にむける、あの何ともいえない笑顔。その笑顔で、先生に耳を引っぱられる時の幸福感。昨日の事のように思い出される。そして、それらのすべてが、現在の私をつくっていると思う。

25 Comments | RSS

  1. ina より:

    不真面目で真面目で、笑っちゃうけど涙が出る。
    読み進めるうちに、もっと野崎さんとのエピソードがあるのでは!?とニヤリとしました。もっとお聞きしたいです。

  2. 今きたよ より:

    セツ先生のお話は断片的に伺っていましたが、
    あらためて文章を拝読すると、
    セツ先生のお人柄をより近くに
    生き生きと感じることができます。

    同じ時間をともに過ごすことに勝るものはないのでしょうが、
    それが叶わなかった遅れて生まれてきた者としては、
    セツ先生のエピソードを伺えるのは
    うれしく楽しい限りです。

  3. 足立いくみ より:

    長沢セツ 私塾。 そこに居たような気持ちになるコラムでした。
    1970年代。。セツに行くという選択もあったのに…と、今更ながら
    思ってしまいました。クヤシイ。そして、すごく羨ましいです。

  4. 齋藤奈緒子 より:

    直接お会いすることはできませんでしたが、セツ先生のお人柄が伝わってくるようなポートレートですね。セツ先生の精神は、こうして卒業生の方々に受け継がれ、生き続けているのだなあと思いました。また次の方のお話も楽しみにしています。

  5. 87 より:

    自分、1973年生まれで、1992~1994年在籍。卒業生です。

    今思うとアホなんですが、セツ先生75歳前後だったと思うんですが『いなくなる』という危機感ゼロで

    卒業5年後に「オオハラは日本のコートダジュールだ!」と愛していた大原でなくなったと新聞の訃報記事を見ても

    受け入れられませんでした。。。

    今でも時々

    (´-`).。oO(『オオハラで事故という設定』で、ほんとうは『救急車に乗ったあと、着替えて成田に行って、今フランスに在住してマルセイユ辺りでチャリ乗って絵を描いて、ゴミ拾ってそうだ。。。』

    とか。。。泣きながら妄想にふけます。。。

  6. とな* より:

    セツ先生 いつもこんな笑顔でした。

    見本とか無くて、ひたすら絵を描く毎日。と思っていたけれど 大人になったら良く解る。私たちは「お前それ素敵じゃない?」って先生にこんな風に笑って欲しくて 一生懸命オシャレして行って、一生懸命絵を描いて、耳を引っ張られた(^。^)

    こんな素敵な学校他にはない! もっとたくさんのエピソードを知りたいです。(1976~1978在籍)

  7. 87 より:

    再び、すみません。書き込みします。
    セツで習ったことで現在最も身に付いて良かったことを書きます。

    「おまえたち、ブティックに無言で入るのは下品なんだよ。ブティックって『洋服店』という意味じゃないから。ブティックは『店』という意味だから。「いらっしゃいませ」と言われたら「こんにちは」と返事をしなさい。ひとんちに無言で入って無言で出ていくって、ないでしょ。ソレと一緒だから。ブティックで『お金を払ったお客である自分はサービスを受けて当然』という態度をとるのはやめなさい。下品なんだよ。お金を払っても「ありがとうございます」と言いなさい。ブティックで一流のサービスを受けたかったら、おまえたちが一流のお客さんになりなさい」

    マナーの授業の中でも、このことばが最も役に立っていると思います。未熟者ながら一流のお客さんになる努力をしていますが、『一目置かれるお客さん』になれているみたいです.+*:゚+。.☆

    • チルチンびと広場 より:

      ありがとうございます これからも いろいろな方の 想い出を つなげていきたいと思います よろしくお願いいたします

  8. 石川ともこ より:

    通っていた頃の日常を思い出し懐かしくてうるっときました。
    休み時間に先生と飲んだ美味しいコーヒーの味も先生から漂うおしゃれな香水の香りも全て昨日のことのように思い出します。「先生の香水は何?」と聞くと「その辺にあったの全部混ぜてつけてきたのッ!」などと言ってピンクのシャツをひるがえしお茶目に笑う先生の姿が忘れられません。

    水彩画の合評会で先生に「A(エー)!」と言われると嬉しかった記憶があり、今でも描き終わった絵は「A」もらえるかな?下品な色は使っていないかな?セツ先生だったら何と言うかな?などと考えたりします。

    本科、研究科を合わせて4年くらいは通ったでしょうか…大事な事は全てセツ先生から教わった気がします。沢山の大切な友人ともセツモードで出会いました。野崎さんが最後に書かれている「現在の私をつくっている」という言葉に100%共感します。

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    同じクラスでした、清美です。先日、ひとみちゃんと話していたら、野崎君とよく、会っていたと聞いてびっくらぁ・・・・
    私は研究科は夜間に移りその後も楽しい時間を過ごしました。懐かしくて、送信させてもらいました。

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    セツ先生 いつもこんな笑顔でした。

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