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セツのデッサン

北住ユキ(イラストレーター)
1979年~1982年在籍

デッサンの授業、セツ先生は「お前たち、ここから観てご覧。
 ヘンな形だろ。ここから観る顔っていうのは左右対称じゃないだろ。
 こんなところに目があるなんて!ぷっ!変なの!!」とおっしゃって、出来上がったご自分のデッサンを黒板に貼る。
 みんなが、わらわらと集まって、それに見入る。

線だけで奥行きが表現されている。
 なるほどなぁと感心してしまった。

群像デッサンの時も「一人一人を描くのではなくて塊として観るんだ」と言われたときも驚きだったけれど、難しかった群像が描きやすくなった。

セツにはお洒落でセンスのいい生徒が多くて、私も廻りの刺激を受け、服が決まらないと授業を遅刻するようないい加減な生徒だったけれど、セツでのデッサンはたくさん描いて、とても勉強になった。
 生のモデルがいてポーズをとってくれる、今思えばなんて贅沢な時間!

水彩の風景画は下書きもせず描き始める。
 けれど面白く描ける場所をよく吟味する。

セツ先生の教えは具体的だった。
 あまり長々と説明はしなかったけれど。
 後から、なるほどと理解する感じ。

それは自由についてだったり、孤独についてだったり、お店のサービスについてだったり、観ないと一生の損!の絵の展覧会、映画のことだったり。

卒業して数十年と時間が経った今でも、反芻しているし「なるほどなぁ」が深くなっている。
 

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  1. 星信郎 より:

    北住さんこんにちは。
    セツ先生を秋の色彩で、すっきりと素敵です。さすがプロの仕事ですね。

    デッサンの授業の様子が蘇ります。見せたがりのセツ先生、自分のデッサンに向かって自画自賛。
    ときには自分のデッサンを模写までさせていましたね。
    しかし、ところが、そのくせ、自分と真逆の絵を非常に好きだったようですね「おまえは天才だ!」と褒めたたえた。

    たくさん生徒が集まって、みんなちがってみんないい。エコール・ド・パリのようでした。

    • 北住ユキ より:

      星先生、ありがとうございます!

      セツ先生、自画自賛していました w 。
      「おれって天才!」ともよく言ってました。
      「おまえって天才!」と言われたら、光栄でしょうね。

      真逆の絵に強く惹かれるって気持ち
      よくわかります。

      面白い個性の人たちが集まっていて楽しかった♪
      「居場所」があると思えた学校でした。

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