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セツの日々

井筒りつこ(イラストレーター)
1984年~1990年在籍

1980年代中盤、なんとなく専門学校へ行ってなんとなく就職してしまった私に、雑誌ananのセツ・モードセミナー特集は強烈に格好良かった。絶対ここに行きたい。

運よくセツがブームになる少し前だったのですんなりと夜間部に入学する事ができた。そこは絵を描く学校だった。タブローも描くが、一番多いのがモデルデッサンだった。教室は2つ使えて、どちらで描いてもいいし、移動しても良かった。長沢先生と同じ部屋になると、はい、ぐるぐる回っていいとこ探すんだよ!と言われ、私達はモデルの回りをぐるぐる回ってここから描いたら面白い構図になるかもしれないという角度を見付ける。パイプ椅子を持ってきて座って描いてもいいし、立っていてもよいのだが、長沢先生がかっこよく背筋をピッ!とのばして描いているので、つられて立って描くことが多かった。

長沢先生は描き終わると水彩でシュシュっと色を付け、上手くいったら、入口横の黒板に貼って居なくなる。生徒はそれを後でじっくり見て勉強するのだ。授業は前半と後半に分かれており、間に休み時間があった。コーヒータイムと呼ばれていてネルドリップのコーヒーを入れたのを買うことが出来た。それを持って中庭に出て煙草を吸うのが楽しみだった。セツは行っても行かなくてもだれにも何も言われないので、生徒はジョジョに減っていくのだが、そこが気に入った人には大変居心地がよく、2年で終了の所、私なぞは5年位行っていた。(研究科という所に居残れるのだ)タブローの時には合評会というのがあって、ずらりと描いてきた絵を壁に貼って、長沢先生が講評する。しかし先生は興味を持った絵の前にしか止まらず、私達はまず長沢先生に止まってもらうことを目指すのだった。

あの時は長沢先生がどうしてこの絵は良くてこの絵はダメだと言うのか分からなかった。

今だったらわかるのかな。もう一度あれをやってほしいものだが、それはもうかなわない。

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  1. 星信郎 より:

    井筒りつこさん こんにちは、星信郎です。

    律ちゃんがセツ先生の写生する姿を写生してる、かっこいい‼︎ この絵をみていると先生は今も生きていると思ってしまいそう、 絵は生きものですね、素晴らしいです。

    そもそも律子さんは、セツに入って最初から上手い絵を描く人でしたね。B1パネルにグリーンのエプロン姿の人物画、あの場面は花屋さんでしたか? いまも僕の記憶にあります。

    もうすぐ6月23日、セツ先生の命日です。 先生の写生する姿、、、しみじみと大原漁港写生会 や海外写生旅行が蘇りました。

    • 井筒りつこ より:

      星先生、ありがとうございます。長沢先生が外で絵を描いていると、とてもかっこよかったのを思い出します。先生が覚えていて下さっているのは初めてアート展に入選した絵で、私にとっても思い出深い絵です。もうすぐ命日なのですね。そんなタイミングでここに参加出来て良かったです。

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