2

セツがよかった。

佐藤 恵(オカピ・陶芸作家)
1985年~1991年在籍

「セツは自由の学校です」というコピーの生徒募集広告をananで目にし、気になって切り取ったのがたしか文学部の学生だった頃。同時期、三宅菊子さんが新聞のコラムで「セツ・モードセミナーという学校はとにかく面白いので学校案内だけでも取り寄せる価値あり」と紹介されていたので、いわれるがまま案内を取り寄せ入学を決意。大学卒業後バイトしてお金を貯めセツに入るためだけに九州から上京したのでした。昼間働きながらの夜間クラスでした。

もちろん絵が好きだからセツに入ったのですが、当時の私は小器用に上手風な絵を描くのが得意でした。当然セツでは全く通用せず。水彩画の授業では褒められもせずけなされもせず(一番ダメなケース)、本科の二年も終わろうとしていました。多分変に自分らしさに拘っていたのだと思います。
 郷に入っては郷に従えと、やけくそでビューンと描いた私なりの「セツ風」のオイルパステルの線画が初めての「A」。とても嬉しかった半面ちょっと拍子抜けしたのを覚えています。
 その後、色が色を呼ぶような幸せな感覚で絵が描けた時(ごく稀にですが)、先生方は必ず見逃さずに評価して下さり、思いがけずゲリラにもなれました。

通っている内に、なんとなく絵のよしあしがわかるようになってくるセツは不思議な学校でした。
 美しさとは態度やものの見方にまで及ぶことも私たちはセツ先生の雑談に笑いながら学びました。たまに耳たぶ(人によってはアゴ)をキュッとつままれたりしながら。

はじめて行ったセツのアート展は忘れられません。のびのびと自由さに溢れた作品が並んでいるのをみたとき、ああここに辿り着けて良かった!自分に一番足りないものが学べると直感しワクワクしたのを覚えています。直感は当たりました。今の私の眼と手の根っこはセツで育ててもらいました。セツでよかった。セツがよかった。

2 Comments | RSS

  1. 星信郎 より:

    長崎で励む佐藤さん、 吉祥寺モノギャラリーでのオカピ展、毎年観させてもらってありがとう。
    陶芸のこと僕にはよく分かんないけど、佐藤さんの絵付けは格別素敵、と思っていたらこの度のパステル画を観てびっくり仰天、佐藤さんは絵うまい人だなあ〜。

    とびぬき明るい空間が、シャープで自由でデリカシーで、セツ先生の顔姿そっくりで 笑ってしまう。 テーブルの色マースバイオレットが先生のベルトポシェットにぴょんと跳んでる、これで決まりだね。 さすがです。

    • 佐藤 より:

      星先生!!
      嬉しすぎるコメントありがとうございます!!ちょっと泣きそうです!

      セツの先生方に絵を褒められるとなんでこんなに嬉しいんだろうと在学中から思ってましたが、数十年経た今も別格です。これでしばらくはあかるく生きていけそうです。

      オカピ展も毎回お越しいただき本当にありがとうございます!
      会期中何度もセツのプチ同窓会になるのが楽しくて毎年続けて今年でなんと20回です。
      絵も陶芸もやればやるほど果てしなくて難しくて面白いです。

      久々大きな絵が描きたくなりました!
      またお会いできる日を楽しみにしています!

星信郎 へ返信する