はじめて敷地を訪ねた際、緑が浮かんだ。庭というよりはもっと漠然とした緑、あるいは自然そのもの。求めるべきは緑という思いから敷地の中心に余白を据え、それを囲むコの字の平面を持つ建物配置を定めた。家の骨格は県産材10割の木材をすべて手刻みで加工し造りあげ、各室の細部には地元の職人技術が込められている。周囲の閑静さに後押しされ流れ(ビオトープ)をつくることとなったのもまた自然の成り行き。雑木と循環する流れは、その泉の始まりを源流に見立て大河までのつながりを示唆する。完成した家の部分と全体、それらの意識が向かう先は水と緑。緑はソヨソヨと水の音はサラサラとひろがり、元々この地に存在する大きな時間の流れへと結びつく。
設計 | 岩瀬卓也建築設計事務所 |
---|---|
施工 | ㈱木楽工房(大工棟梁:金澤信之) |
構造形式 | 木造在来工法 |
主な外部仕上げ | 屋根/ガルバリウム鋼板 軒天井/杉野地板12mm 外壁/ラスモルタル下地リシン吹き付け |
主な内部仕上げ | 天井/杉野地板12mm クロス貼り 壁/クレイペイント塗り クロス貼り 床/杉縁甲板40mm×12mm 畳 真砂土三和土仕上げ |