藍染
藍染の歴史は古く、紀元前4千年頃に遡ると言われています。日本では、法隆寺や正倉院に藍染の布が遺されていることから、奈良時代には藍染が行われていたと考えられています。技術の開発や合成染料の展開による衰退を経験しながらも、藍染の布は現在まで仕事着や、着物、暖簾や布団、手ぬぐいなど、暮らしのあらゆる場面を美しく彩ってきました。
藍の染料をつくることを「藍を建てる」といいます。日本独自の伝統的な藍の建て方は、「すくも」(蓼藍の葉を、収穫後に4ヶ月も発酵させて堆肥状にしたもの)を地中に埋めた甕の中に灰汁で仕込み、微生物の栄養にお酒や麸をくわえて発酵を促します。染める準備ができると甕の表面に「藍華」と呼ばれる美しい藍色の泡沫が浮き上がります。染め人は色艶や状態を見ながら、愛情をこめて大切に藍甕のお守をするのです。
学生の頃から藍に魅せられてこの伝統的な藍建ての技術を学び、50年以上に渡り作家活動を続けてきた新道弘之さんは、昔ながらの里山風景を残す京都・美山の大きな茅葺民家に「ちいさな藍美術館」を設立しました。一階の工房ギャラリーでは独自の染め技術による作品と制作風景を、二階の展示場では世界各国の貴重な藍染作品を見学することができます。染めたての鮮やかで澄みきった青、古布の柔らかな深い青…ゆっくり静かに時が流れる空間で、さまざまな藍色の表情を味わえます。美しい水と豊かな自然に恵まれたこの場所で、古今東西人々に愛されてきた藍染文化を守り、育て、広く発信することが自分に与えられた使命かもしれません、と新道さんは語ります。
シンディゴシボリ手ぬぐい 2,500円(税込)
ちいさな藍美術館
〒601-0712 京都府南丹市美山町北上牧41
TEL:0771-77-0746 / FAX:0771-77-0746
営業:10:00~17:00 木・金曜休館(祝日開館)冬期(12月1日~3月31日)休館
入館料:250円
HP:http://shindo-shindigo.com/
E-Mail:shindigo@cans.zaq.ne.jp