西陣絣
応仁の乱時に西軍が本陣を置いたことから「西陣」と呼ばれ、織物産業で一世を風靡したこの辺りには、数少なくなったものの現在でも織機の音が鳴り響きかつての面影を残しています。西陣織は、生地を染めるのではなく糸を染めてから織る「先染め」という手法を用いた色落ちしにくく繊細で立体的で華やかな風合いの織物で、世界に誇る伝統工芸となっています。なかでも西陣絣は、糸を染める際に模様の絣部分だけをあらかじめ糸でくくり、染料が染みこまないようにして仕上げた多様な色合いの細い絹糸を経糸に用い、「はしご」という道具で少しずつずらして美しいかすり足で伝統の矢絣や十字絣などを描くという大変に手間と労力のかかる工程を経て、他の産地の絣には見られない独特な表現が生まれるのが特徴です。
着物を着る人も少なくなり、全盛期200名近くいたといわれる絣職人たちも現在は7名になってしまったといいます。この貴重な西陣絣や手織りの魅力を伝え次世代に繋ごうと、職人をはじめ染色作家、ライター、学生など西陣絣と手仕事を愛する仲間が集まって2015年2月に生まれたのが「いとへんuniverse」。「思いついたら即実行!」を合言葉に、さまざまな個性がそれぞれの能力を発揮して、情報発信やワークショップ、オリジナル生地の制作、ストールやバッグなど新商品の開発を行っています。「今後は、一時の隆盛により分業化された工程を各々の職人が学び合う機会を作るなど後進育成にも力を入れていきたい」と語るリーダーで織師の大江史郎さん。「西陣絣だけでなく着物文化全体、また失われゆく手仕事が力を取り戻すきっかけになれば」と広報担当でライターの白須美紀さん。伝統産業を守り育てる新しい形が生まれています。
いとへんuniverseオリジナル絣
写真右:「ムラシマ」ストール (機械織りシルク、幅41cm×長さ約160cm)17,000円(税込)
写真左:「チラチラ」ストール (機械織りシルク、幅41cm×長さ約160cm)18,000円(税込)
いとへんuniverse
HP:http://itohen-univers.com/
製品や活動に関してのお問い合わせはinfo@itohen-univers.com
(代表:大江)まで