
この地の町人だった直江屋伊兵衛が、醤油発祥の地である紀州から醸造法を学び、加賀藩主3代目の前田利常公の命により、約400年ほど前から醤油醸造がこの大野町で始まりました。
白山水系の豊かな伏流水が湧き出て醸造に最適な土地だったこと。北前船が運んだ麦や大豆。高度な醸造技術を得ていたこと。そして、新たな技術革新の積み上げで、今日でも醤油の町として有名なのは、直江屋伊兵衛の醤油造りに懸けるこだわりと情熱のおかげかもしれません。
2008年公開の映画、中谷美紀さんが主演の『しあわせのかおり』では、大野町が舞台となり、観光スポットとしても話題となりました。
そして、近年の発酵食ブームでもこの大野町が注目され、醤油や味噌、糀を買い求めにくるお客さんが後を絶ちません。
【ヤマト醤油味噌】が運営する『発酵食美人食堂』で、ランチをいただきました。「一汁一菜に一糀」の食事スタイルを進めているこちらでは、活きた酵素をたくさん摂れる、身体に優しい、そして腸が元気になるような美味しいランチを提供してくださいます。
この日のご飯は、炊いてから3~4日間熟成させた寝かせ玄米。初めて口にする寝かせ玄米は、もっちもちで香ばしく、甘味と旨味を強く感じました。お野菜たっぷりですべてに糀を使ったおかずはどれも本当においしかったです。
家庭では全ての料理に糀を使うのは難しいかもしれませんが、昔ながらの伝統調味料である、醤油や味噌をもっと活用したいですね!
古くからの文化や伝統が残る大野町ですが、多国籍料理を楽しめるお店が出来たり、新しいジャンルのお店もどんどん増えていて、新たな魅力を見付けられ、ぶらぶら歩くのもまた楽しい時間です。


国産米使用・酒精不使用・参加防腐剤不使用。糀のまろやかな甘さと本醸造醤油のコクと風味。様々な料理に合う万能調味料です。

- 01.石引
- 02.大野

金沢市の北西部、金沢港の西側に位置する大野町。今でも江戸時代からの町並みが残り、歴史や文化を感じられる素敵な町です。北前船の寄港地として繁栄した大野町は、醤油の五大名産地と呼ばれるほど醤油造りが盛んです。町に足を踏み入れると香ばしい醤油の香りがどこからともなく漂ってきます。

- 石川県金沢市大野町1丁目53番地
長い間、醤油づくりの要である「もろみ」を熟成させる醸造蔵を現代に蘇らせた直源醤油のショップ兼カフェ。築100年を超えるこの建物は、外の影響を受けないよう光が入らない構造で、まわりは土壁に覆われ、外観は古いまちなみに合うようシックな色調で統一されています。
http://www.naogen.co.jp/
- 石川県金沢市大野町3丁目4番地
町家を改装し、蔵の扉が残り、昭和の趣があちらこちらで感じられます。中庭からの光がとても優しく、草木が映え居心地のよい空間に、所狭しと古伊万里の器や、明治から昭和中期ごろのガラスなど、暮らしのなかで楽しめる器や古道具が置かれています。
http://www.h5.dion.ne.jp/~isis/
- TEL:080-3761-3362
陶芸家・岩﨑晴彦さんのギャラリー。轆轤 (ロクロ)体験や陶印ワークショップなども行っていますもろみ蔵近くbonbonさんうしろにあります。
http://www.geocities.jp/suetukuri/
- 石川県金沢市大野町4丁目125番地
TEL:090-8262-5661
中谷美紀さんが主演の『しあわせのかおり』で主人公が働く 料理屋として使われた建物をそのまま活用した中華食堂。人気のメニューは大野の醤油を活かしたラーメン。御惣菜がサービスでいただけます。

石川県金沢市在住。
日本フードアナリスト協会東京本部・北信越支部広報委員。
実家が農家ということもあり、農家さんの思いを形にしたいと、6次産業化や農商工連携アドバイザーを務める。フードアナリストとして石川の食を発信中。趣味は食べ歩き。