金沢市の中心地からすこし離れた三口新町にある古道具・器きりゅうさんの棚には、江戸や明治・大正期の陶器や漆器がみっしりと詰まっています。

「ものを選ぶ楽しみを味わってほしいから、できるだけたくさん置きたいんです」と語る店主の桐生洋子さん。北前船交易の華やかなりし頃を偲ぶ、素晴らしい職人さんたちの手仕事をなんとか残していきたいという思いで、23年前にこの店をはじめたといいます。「昔はお殿様しか手にできなかった贅沢品が、今はお家で使うことができるなんて、ありがたいことですよね。誰かの物差しでなく、自分が素敵だな、こんなふうに使ってみたいな、という感覚を大切に選んだ器でお食事やお茶の時間を楽しんでほしいなと思います」。

実際に手にとって見てほしいという思いはあるものの、なかなかお店まで来られない方にはWEB版「古道具・器ハナレきりゅう」もあります。運営を担当するのは古くからの常連の方で、一点一点シチュエーションをお二人で相談しながら、楽しく撮影をされているという写真は、素敵な器づかいのヒントになりそうです。

今月は桐生さんに選んでいただいた、年の初めにふさわしい小さなお膳セットを2名の方にプレゼントいたします。輪島塗のお膳に九谷焼の豆皿とお猪口を乗せて、お漬物や甘いものをちょっといただくのもよし、葉蘭や南天を敷いて、黒豆や数の子などをのせてもよし。お膳の朱色とお猪口の白、そしてお皿に描かれた松竹梅と愛らしい鳥が福を呼びそうです。新しい年を、華やかな器でお迎えください。

サイズ

膳（輪島塗 明治期） 約19cm　
豆皿（九谷焼 明治期）　松竹梅 約10.5cm 枝に鳥 約9.5cm
お猪口（九谷焼 明治期）　幅 約5cm × 高さ 約5cm