買い物や旅の途中でふらりと立ち寄って欲しいと、閑静な住宅街から街中の旧いビルへ引っ越して5年目を迎える「小さい部屋」。店主の西岡さんと作り手の丁寧なやりとり、その積み重ねが生みだす静かで温かな雰囲気はどこにあっても健在です。3回目となる坂田典子さん、萩原桂子さん、上田真理子さんの3人展「野を集める」は、初夏の野山を散歩するような軽やかな設えで革・切り絵・金工の三者三様の作品が楽しめる、爽やかな季節にぴったりの空間になっていました。

学生時代は染色を専攻する中で型を彫っている時が一番楽しいと気づき、彫り続けることに没頭して今の制作スタイルになったという萩原さん。野に生息する植物や菌類が驚くほど精緻に切り出され、儚くも逞しい小さな植物の生命力が溢れてくるようです。和紙に柿渋や墨、顔料などを塗り重ねて作られた繊細な色合いとも調和して、見れば見るほど引き込まれます。

今回は「野を集める」展から小さなガラスのシャーレに納まった萩原桂子さんの切り絵を3名の方にプレゼントいたします。以前から実験器具が好きで、その理に適った造形に心惹かれていたという萩原さんの遊び心溢れる作品を、どうぞお手元でご覧ください。

サイズ：（シャーレ）φ5.5cm × 厚さ1.7cm