イラストレーター、デザイナーを始め、名立たるクリエイターが生まれているセツ。「セツ物語」に自分もおじゃまするのは気後れしてしまいますが、私は未だ自分が何者になったのかわからず、名乗るのに困ることがあります。
ある時は田畑を耕していたり、子どもやお年寄りのお世話をしていた時期もあるし、編集プロダクションに出入りしていた事もあれば、絵や文を描く仕事をもらったり。病を得てペンを握る力もなく何もできない時期もありましたが、現在は研究機関のプロジェクトのスタッフとして働いています。でもいずれにしても「絵を描く」ということが助けになって、その特性がなければ今の仕事も使ってもらえていなかったかな、と思ったりしています。
しかしセツでは「立派な〇〇になれ!」などと言われることは全くなく、就職の斡旋をするようなこともなく、セツ先生は「おれがお前たちに伝えたいことは、『本当に美しいものがわかる人になってほしい』ということ。それだけ」というメッセージを伝えていました。本当に美しいものって、何だろう?
それは今もつかみきれていませんが、ずっと模索し続けていて、これからも生きていく上でテーマなのだろうと思います。セツ先生の著書に「弱いから、好き」(文化出版局)というタイトルがありますが、「強い国・ニッポン」なんて言っている今の時代を生きていたら、どんなことをおっしゃったのだろう?「強くたくましく」なんて思想を一蹴して、繊細さやはかなさを慈しんでいたようなセツ先生。孤独を楽しみ「寂しいからいいんだヨ、だから友達を大切にできるんだヨ」と話すセツ先生は、本当に強い人だなあと思うのですが、弱さを愛でるセツ先生の言葉や生き方、セツでの友達、あのアトリエで過ごした日々は、ずっと私の支えです。
8頭身のモデルさえ5頭身になってしまう私のファッション画を「プーッ」と笑い、「おまえはスマートに描けないんだな、いいぞ、お前はそれでいけ」とAをくれた先生。はい!私なりの、美しいものを探し続けます。
渡部寿賀子さん こんにちは、星信郎です。
もう何年も前のことですが、あなたのつくった小冊子、セツの写生旅行記を秦君伝いで拝見してます。 たのしそうで面白くて、とってもよかったです。
この度もまた素晴らしいですよ。懐かしい合評会の情景、いろんな色をたくさん置いても下品にならない美しさ、これは構図の巧みでしようか? ヘタウマぶらないヘタウマ。さすがセツ先生はそれを見抜いてたように思う。
小冊子にもでてくる福ちゃんの名は福田君のことかしら?、福田君は3ヶ月ぐらい前に他界してますね。 とても残念に思います。
星先生、ありがとうございます。
星先生からコメントを頂いて、はじめはホッとしてうれしく読み進めていたのですが、最後まで読んで、福田さんが他界されたことを実は初めて知りました。
とてもビックリして、ボーっとしています。
昨春、セツが閉校になる前に卒業制作展へ行き、それこそ20年ぶりくらいで福ちゃんこと福田さんに再会したのです。秦さんたちとお茶を飲んで、その時もたくさん、ヨーロッパ旅行の写真を見せてもらって、送っていただきました。今回のセツ先生の絵は、福田さんからいただいた写真をあれこれ見ながら描いたものでした。
渡辺さんの絵も文章も、何故だか私の心の琴線にふれ涙が出ました。
そして、福田さんという方を私も少し知っているのですが、
彼のふんわり優しい笑い顔を思い出し、人の良い彼にはもう会えないんだなあとまたちょっと泣けてしまうのです。
96年セツ卒さん、コメントをくださってありがとうございます。
福田さんは、本当に人が良くて、そして絵も写真も素敵でしたよね。一年前にセツでお会いした時、優しい感じが少しも変っていなくて、
コーヒーブレイクをご一緒してお話したのに、もう会えないのかと思うと本当にさみしいです。