news letter 「住まいと健康」を考える 東賢一

ドイツでのフタル酸ジ-2-エチルヘキシルによる健康リスク評価結果

DEHPは、塩化ビニル樹脂の可塑剤として利用されており、塩ビ系の床材、壁材、その他の建材、食品包装・容器、医療器具、玩具などに使用されています。生活環境では、室内ダスト、飲食物、大気、水などに幅広く存在しています。DEHPは、人の生殖器官への影響やアレルギーの増悪などが報告されている物質です。

ほとんどの場合、人の健康リスクについては小さいと考えられていますが、小さい子どもの場合は、飲食物の摂取、室内ダストや玩具などのマウシング(口に入れる行為)を通じて高濃度のDEHPに曝露する可能性が指摘されています。

ドイツでは、連邦リスクアセスメント研究所と連邦環境庁がDEHPのリスク評価について、共同で調査を行いました。

DEHPについて、欧州食品安全庁は、50μg/kg体重・日の耐容一日摂取量(TDI)を定めています。ドイツの曝露調査によると、食品由来では、大人と子どものいずれも平均13-21μg/kg体重・日の摂取量でした。しかしながら、数%の人でTDIを超えていました。

食品では、例えば、マヨネーズ、油性のドレッシング、油性の缶詰(魚類など)、脂質のコンビニ食品など、脂肪質の調味料などにDEHPが多く含まれていました。

DEHPの食品関係の規制については、2007年に脂質性食品の包装容器での使用が禁止されています。しかし、DEHPは、油性の物質との親和性が高く、一般環境中に広く分布しており、食品包装容器や食品製造プロセスからDEHPが脂質性の食品中に吸収されたと考えられています。

しかし、特に子どもの場合は、食品以外にも、室内ダスト、生活用品、玩具なども曝露源になります。これらを総合すると、子どものDEHP摂取量は、平均15-44μg/kg体重・日でした。平均値ではTDIを下回っていますが、さらに多くの一部の子どもたちは、TDIを超えていることになります。

従って、DEHPの摂取をできる限り下げる努力が必要です。対策としては、新鮮な食品を摂る頻度を増やす、コンビニ食品の利用頻度を少なくする、偏食を控える、床やカーペットの清掃頻度を増やすなどがあげられています。小児用玩具では、1999年に使用が禁止されましたが、それ以前の古い玩具が曝露源になっている可能性も指摘されています。

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