news letter 「住まいと健康」を考える 東賢一

米国環境保護庁によるPM2.5の大気環境基準

空気汚染物質であるPM2.5、日本では微小粒子状物質と呼ばれていますが、世界中で約700万人が死亡していると世界保健機関(WHO)が推算しており、そのうち約400万人は室内空気汚染が原因であると推算されています。室内の主な発生源は、調理や暖房等で使用する燃料の燃焼排出物です。

米国環境保護庁は、PM2.5の大気環境基準を最も早くに設定しており、1997年に年間平均値で15μg/m3、1日平均値で65μg/m3の大気環境基準を設定しました。

その後、新たな科学的知見をもとに、2006年には年間平均値で15μg/m3、1日平均値で35μg/m3に設定し、2012年には年間平均値を12μg/m3に下げました。

WHOはPM2.5の空気質ガイドラインを2005年に年間平均値で10μg/m3、1日平均値で25μg/m3に設定していましたが、その後、さらに低い濃度でも循環器疾患等の影響が生じるとの研究が複数報告され、WHOと米国環境保護庁は、空気質ガイドラインや大気環境基準の再検討を行っていました。

その中で、米国環境保護庁は、先月4月14日、現在の大気環境基準をそのまま据え置く提案を発表しました。2000年から2018年にかけて、米国におけるPM2.5の平均濃度は39%減少しています。現在の大気環境基準を据え置いて、空気汚染の改善と持続的な経済成長の両立をはかっていくことが考慮されているようです。

詳細は、以下の報道発表をご参考下さい。
EPA Proposes to Retain NAAQS for Particulate Matter
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-proposes-retain-naaqs-particulate-matter

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