news letter 「住まいと健康」を考える 東賢一

米国環境保護庁による浸水被害後の住宅の清掃と室内空気質に関する情報源

日本では近年、主として台風による短期間での多量の降雨によって、大規模な浸水被害が発生しています。浸水被害を受けた住宅には、さまざまな健康リスク要因が存在しています。しかしながら、日本では、そのことや対応方法に関する情報がほとんど公開されていないのが現状かと思います。

米国環境保護庁は、室内空気質の部門において、標題の情報源を公開しています。以下のサイトになります。各情報は、pdfファイルで入手できます。

浸水被害後の清掃と室内空気質に関する情報源
Resources for Flood Cleanup and Indoor Air Quality

1)Flood Cleanup – Protecting Indoor Air Quality
浸水被害その清掃:室内空気質を守る
2)Homeowner’s and Renter’s Guide to Mold Cleanup after Disasters
災害後のカビの清掃に関する所有者と管理者とのためのガイド
3)Flood Cleanup and the Air in Your Home: Booklet
水害後の清掃と住宅の空気に関するブックレット
4)Flood Cleanup and the Air in Your Home: Poster
水害後の清掃と住宅の空気に関するポスター

以下は専門的な報告書
5)Technical Resources for Flood Cleanup and IAQ
水害後の清掃と室内空気質に関する技術的資源
6)Mold: Worker and Employer Guide to Hazards and Recommended Controls
カビについて:有害性と対処方法に関する労働者と従業員のためのガイド

これらの情報源の中から、以下のブックレットを添付します。また、その中から要点を抜粋します。
3)Flood Cleanup and the Air in Your Home: Booklet
水害後の清掃と住宅の空気に関するブックレット
<要点>
(1)水害で住宅に侵入した水は居住者の健康に影響を与えることがあり、2日間以上湿った状態にあるところにはカビが生えやすい。また、水害後には病原菌や害虫が発生する可能性がある。従って、対策としては、清掃と乾燥が重要。

(2)カビは喘息やアレルギー症状、あるいは他の呼吸器症状を引き起こす可能性がある。浸水被害を受けた住宅における清掃や作業に関して疑問がある時は、主治医や他の医療従事者に相談する。

(3)多量のカビが発生した際には、カビの清掃方法について専門的な支援が必要となるかもしれない。その際は、専門業者に依頼し、水害で発生したカビや病原菌を清掃する。また、水漏れのあるところを修理し、それらを乾燥させる、そうしないとカビが再び発生する。

(4)清掃時には以下の保護具を着用する。
・N-95マスク(高効率で微粒子を除去するマスクで、カビの粒子を吸い込まないようにできる。ハンカチやバンダナ、一般の防塵マスクは使用しないこと)
*米国ではホームセンターでN-95マスクを購入できる
・ゴーグル(目にカビが入らないように通気口のないゴーグルを選ぶ)
・手袋(素手でカビに触れない)
・長ズボン、長袖シャツ、長靴または作業靴

(5)水害で濡れて清掃できないものは廃棄する。

(6)浴室、シャワー室、浴槽、キッチンの調理台など表面が硬いところを清掃して乾燥させる。カビが生えていて清掃や乾燥ができないところがあれば、殺菌用の洗剤やクリーナーを用いる。複数の洗剤や漂白剤などが混じり合わないようにする。

(7)停電が生じていて家庭用発電機を使用する場合は、発電機の排気ガスが建物の中に侵入しないように、建物から離れたところで使用する。建物の中では携帯用発電機を使用しない。バルコニー、ドアの近く、換気口の近く、窓の近くには携帯用発電機を設置しない。居住者の近くで携帯用発電機を使用しない。

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