news letter 「住まいと健康」を考える 東賢一

欧州連合におけるフタル酸エステル類の新たな規制

フタル酸エステル類は、主に塩化ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル)の可塑剤として使用されています。可塑剤とは、樹脂を柔らかくする添加物です。他にも、溶剤、洗剤、繊維の潤滑剤、香料の保留剤、人工皮革など多くの製品に使用されています。

約2年半前になりますが、2016年12月のトピックで、欧州連合(EU)では、電子・電気機器における特定有害物質の使用制限に関するEU指令であるRoHS指令において、2015年6月よりフタル酸エステル類の4物質(DEHP、BBP、DBP、DIBP)が規制対象として追加されたことをお伝えしました。

その後、EUでは新たな動きが公表されました。

昨年12月17日ですが、EUのREACH(Registration, Evaluation, Authorization and
Restriction of Chemicals: 化学品の登録、評価、認可及び制限に関する規則)規則において、DEHP、BBP、DBP、DIBPの1つ以上を0.1重量%以上含む全ての成形品(フタル酸エステル類で可塑化された材料)について、欧州の市場に導入することを2020年7月7日から規制することが公表されました。

ここでの可塑化された成形品には、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、その他の樹脂(シリコーンゴムと天然ラテックスコーティングを除く)、表面コーティング材、滑り止めコーティング材、仕上げコーティング材、ステッカー、印刷材、接着剤、シーラント、塗料、インクが含まれます。但し、自動車と航空機用途に関しては、少し遅れて2024年1月7日から規制が実施されます。

EUでは、上記成形品の室内への持ち込みが原則できなくなる厳しい規制となります。

0 comments
Submit comment