news letter 「住まいと健康」を考える 東賢一

送電線の電磁界による健康影響と国内外の対応―その2―

送電線周辺に居住する小児で白血病のリスクが上昇する可能性が示唆されていますが、十分な確証が得られていない状況です。但し、欧州のいくつかの国では予防的観点から対策を行っています。今回は、ベルギーとフランスにおける対応を紹介します。

1)ベルギー
ベルギーは、ブリュッセル首都圏地域、フランデレン地域、ワロン地域の3地域で構成されています。電磁界対策は、それぞれの地域毎に対応が異なります。

(1)フランデレン地域
ベルギーの国土の北半分を占めるフランデレン地域は、送電線を新設する際は、学校、保育所の上空に送電線を敷設することを避けること、住宅の上空に施設することは最小限に抑えるよう勧告しています。

学校と保育所を新築する際には、年平均で0.4μT(マイクロテスラ)を超える電磁界の場所には新築しないこと、また、室内環境に関する法令では、住宅や公共建築物を含めて10μT未満の低周波電磁界曝露に抑えることが必要とされ、0.2μTの実現に向けて努力するよう助言しています。

(2)ブリュッセル首都圏地域
15歳以下の小児が滞在する可能性のある場所の近辺に変圧器を新設する場合の電磁界曝露の環境基準として、24時間平均で0.4μT未満と定めています。

(3)ワロン地域
電力設備の電磁界曝露に関する予防的措置は定められていません。

2)フランス
フランスでは、小児の電磁界曝露が1.0μTを超える送電線、送電ケーブル、変圧器、母線の近辺に病院、産科病棟、保育施設を新築することはできる限り避けるよう各県に助言しています。

法的根拠はありませんが、送電系統の新設計画において、上述のようなセンシティブな場所の近辺にはできる限り電力設備を新設しないよう、電力会社が努力しています。

次回は、ドイツとオランダの対応について紹介します。
 

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