news letter 「住まいと健康」を考える 東賢一

2-エチルヘキサノールの放散防止材

2-エチルヘキサノールに対して、厚生労働省の室内濃度指針値が提案されていることは前回のトピックで紹介しました。

2-エチルヘキサノールは、塩ビ樹脂に含まれる2-エチルヘキシルフタレート(フタル酸-2-ジエチルヘキシル)がコンクリートのアルカリ成分と反応して加水分解することで生成されます。

コンクリートの下地に塩ビのフロアーや壁紙を敷設していると、2-エチルヘキサノールが空気中に放散される可能性が高くなると考えられています。

昨年、室内空気の国際学会がベルギーで開催された際に、2-エチルヘキサノールの健康リスク評価に関する研究発表を私は行いました。その際に、スウェーデンのルンド大学(Lund University)のラルソン教授 (Prof. Larsson)から、2-エチルヘキサノールの放散防止材を開発したということで、紹介を受けました。cTrapという名称の商品でした。シート状の商品です。

ラルソン教授は医学系の先生で、生物医学がご専門なのですが、健康障害防止の観点から、cTrapの開発に関わっているようです。ラルソン教授は、室内空気の国際学会でよくみかける先生です。

先月、ポーランドで開催された国際学会でもラルソン教授と再会し、引き続きcTrapを紹介していきたいとお話されていました。実験で2-エチルヘキサノールの放散量を低減したことやヒトの症状が改善したことも確認しているとのことでした。

cTrap
http://www.ctrap.com/

日本にも類似した技術があるかもしれませんが、2-エチルヘキサノールは、欧州でも問題になっており、ドイツでは日本よりも先行して2-エチルヘキサノールの室内濃度指針値を策定しています。

本トピックで特定の商品を紹介するのは、好ましいことではないとは思いますが、建築現場で施工業務に携わっている方々に、何らかのかたちでご参考になれば幸いです。
 

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