news letter 「住まいと健康」を考える 東賢一

世界保健機関(WHO)欧州の昨年12月のニュースレター(No.21)

1.塗装剤に使用されるナノ技術

窓の耐面ひずみ性や床材のシーラー(ハードコート剤)の耐擦傷性を向上させるために、近年、これらの塗装剤にナノ材料が使用されているようです。ナノ材料は、ナノサイズ(ナノとは、10の9乗分の1、または1/1000000000)の大きさの材料のことで、極めて小さな粒子や繊維状物質をあらわしています。例えば、カーボンナノチューブ、金属ナノ粒子、フラーレンなどがあります。極めて小さな粒子を使用しているため、塗料等の厚みを薄くできる、溶剤の使用量を削減できるなどのメリットがあります。

WHOのニュースレターでは、これらの製品が市場に導入される前に、人の健康や環境への影響に関して、開発元の企業が十分確認するよう警告しています。摩耗や劣化によって環境中にナノ粒子が放出され、人の健康や生態系に対して影響を及ぼす可能性があるからです。従ってWHOは、塗装剤の開発者はナノ粒子が環境中に放出されないようしっかり設計するよう勧告しています。また、これまでのところ、塗装剤のラベル表示において、塗装剤にナノ粒子が使用されているということを表示する義務はありません。そのため塗装剤の開発者は、消費者に対してナノ材料のリスクや製品の取扱法に関して十分説明するよう勧告しています。

2.交通騒音と空気汚染と脳卒中との関係

最近のデンマークの研究によると、交通騒音と空気汚染が虚血性の脳卒中に関係しているとの報告があったようです。交通騒音よりも空気汚染のほうが影響は強いようです。

これまで、交通騒音や空気汚染が虚血性心疾患に関係していることは示唆されてきました。空気汚染では、微小粒子状物質(PM2.5)が主な原因と考えられています。血液循環系の疾患という意味では共通していますので、脳卒中においても影響が示唆されてきたようです。

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