水無月 2023

5月の花に引き続き、今回も金沢市石引町の商店街の中程にある元薬局をリニューアルした山岸薬局ビルヂング内で撮影を行い、公開展示をしたなかから掲載します。

裏口を出て踏み石伝いに樹木や草花で彩られたトンネルのような庭を抜けた突き当りにブロック積みの小屋があります。何かしら私の部屋にしてしまいたい行動に駆られるのは薬剤師だった故人の秘薬処だったのではないかと想像してしまうからかも知れません。

蒲(ガマ)の葉で編んだタタミ一畳大の呉座を敷き、古い飯台の上に土器を置いていけたような、何もしないようにいけて部屋の空気感を変えてみました。明りとりの窓の下には蓬(よもぎ)、月桂樹、ローズマリー、においひば、黒文字(くろもじ)等を各々束ねてそこはかとなく匂うように下げておく。

片側引戸の入り口に「かしこどころ」(花をいける部屋)として花をいける体験ができるように張り紙でご案内をしておきました。金属製のバケツの中に準備した花材(露草、小手毬、丁子草、紅苺、木槿(むくげ)、琉球あさがお、すいば、都忘れ、紫蘭、スイカヅラ等)の中から取り合わせていける、一輪でいけるなど部屋に籠られて、4,5人の方がいけて下さったようです。

各々にいける前といけた後の違いを感じられたのではないかと、そのことを敢えてお聞きするというようなことはしませんでしたが。

次回の花も山岸薬局ビルヂング内で公開展示をした中からお届けする予定です。

 

花:露草 白紫蘭 都忘れ                                                                                器:土器水呑(ラオス製)                                                                                  花台:古い飯台(ラオス製)                                                                                 敷物:蒲の葉で編んだ呉座(道念邦子制作)

場所:山岸薬局ビルヂング