葉月 2022

決して「瓢箪から駒が出る」の諺にあやかったわけではなく、夏を探して犬も歩けば棒に当たるようにして辿り着いた今回の花です。
ちなみに、瓢箪から駒を辞書で調べてみますと、意外なところから、意外なものの現れることのたとえ、ふざけ半分の事柄が事実として実現してしまうこと、道理のうえから、あるはずのないことのたとえなど。ハテナ?と気掛かりだったことが、思わぬことでなるほどと合点のゆくことはしばしばあります。
器として使用している瓢箪は韓国草藁工芸の師匠にして作家活動もしている田聖任(ジュンソンイム)からユーアーマイサンシャイン、ソンムリ エヨ(おみやげです)と言っていただいた半分です。
瓢箪文化は韓国でも古い時代から伝承されています。例えば、生活用品としては日本で使われているおたまに代表され、また水入れや碗のようにカットした水呑み器を腰に下げ旅の道連れとして貴重な容器だったことを草藁工芸の資料で識りました。近年では繰り抜いた木に漆を施して形はそれらしく堅牢で使い勝手の好さそうな一品に様変わりしています。
どんなに暑くても咲く花は咲きます。生い茂る夏草の中に手を伸ばして握った一輪、手から伝わる花のエネルギーに動かされて秋の気配も添えていけてみました。

花材:西瓜 梨 玉子 菊の葉 早乙女花のつる
花器:瓢箪 焼〆蛙
会場:金沢市 彗星倶楽部 中川暁文「漂流する肖像」作品展にて