文月 2022

笹も竹もイネ科植物というのも不思議、各々に大変種類が多く、植物学上でも厳密な分類は難しいそうです。
電車やバスで郊外を走ると遠くに近くに竹林を見かけることがあります。背が高くて風でも吹こうものなら揺れる先端から怪獣が押し寄せてくるように見えるのが竹です。
また林道などを歩いていると道路際に見かける茎の細い、竹の葉に較べて大きな葉を繫らせているものを笹と見分けてもいいでしょう。
笹は人が採取し易い所に群生しています。
田植えのころになると笹の先端に巻き葉が出始めます。
手ですぽんと抜けるので野の主にお断りしてほんの少しいただきます。1cmぐらいに切り陰干しのあと笹の新茶で一回きりの野趣を味わいます。
さてその笹の葉も7月ともなれば成熟期にあたるでしょうか。
水揚げさえすれば生け易くなります。
涼しそうだからと選んだ花器の口が拡がっているため内側に木蜜(こみ)といってやや弾力のある湿った木の枝を入れて傾斜を助けてもらいます。木蜜を頼りに一本一本先に挿した笹の関係性を尋ねながら生けてみますと、好し悪しは別としてみどりのさわやかさに夏空が浮かんできます。

花材:笹
花器:赤地 健 磁器染付笹文