暖地で食用として栽培される金柑を十数年前は花材としてよく使っていました。その頃は食べた数よりもいけた数の方が多かったでしょう。
ここ近年は寒中に必ずと言っていいほど生のままで金柑をいただきます。太陽のひとかけらと思って口に含みますと温かい味がします。
市場から金柑が姿を消す頃には春の陽気に草々がムクムクと芽を出し始めます。自然の循環を身近にする季(とき)です。
金柑を並べることに集中していますとひとつひとつの形の微妙な違い、色も陽の当たる部分とそうでない、ちょっとした違いに暖かさを感じとることができて時間を忘れさせてくれます。
花材:金柑
その他:硝子板 52cm ×30cm 2枚 陶片